中国製大型無人輸送機「Archer」、オマーンで中東初の商業物流飛行
オマーンでこのほど、中国製の大型無人輸送機(UAV)「Archer」が医療物資を運ぶ商業物流飛行を実施し、中東で初の事例になりました。山岳地帯の“距離と時間”という課題に、低空(地表近く)物流が現実的な選択肢として浮上しています。
何が起きたのか:山を越えて医療物資60kgを配送
現地報道によると、オマーンの運輸相が離陸のカウントダウンボタンを押し、「Archer」は医療物資60キログラムを搭載して飛行。標高3,352メートル級のハジャル山脈を越え、約100キロ離れた山間の町へ届けました。
所要時間は50分未満。地上輸送では4WDが必要で、アクセス制限も重なり最大3時間かかることがあったとされ、緊急性の高い物資の配送にとって大きな差となります。
ポイント(数字で見る)
- 輸送物資:医療物資60kg
- 飛行距離:約100km
- 所要時間:50分未満
- 地上輸送:最大約3時間(4WD・アクセス制限など)
- 地形:標高3,352m級の山脈を横断
なぜ今注目される:地理的な“分断”を短時間でつなぐ
対象となった町は険しい山岳地形に位置し、都市部から離れているため、物流が長年の課題でした。医療現場では、必要な物資が「あるか/ないか」だけでなく、「間に合うか」が結果を左右します。今回の飛行は、山岳地帯におけるサプライチェーン(供給網)の時間短縮に、無人航空機が具体的に寄与し得ることを示しました。
環境面のハードル:高温・砂嵐・強風への適応
中東の気候は、高温に加え、砂嵐や強風など運航リスクが重なりやすいとされます。実施主体のTimes Flying Phoenix Technology(中国・昆山)は、こうした条件への適応を見据え、2025年7月に中国の新疆の「火焔山」で環境適応試験を行い、耐久性や性能を検証したとしています。今回の飛行は、そうした試験を踏まえて「厳しい環境でも安定運用できる」ことを示す狙いがあったとみられます。
「スカイブリッジ」計画と、今後の広がり
今回のミッションは「Sky Bridge(スカイブリッジ)」と名付けられ、オマーンの運輸省、保健省、民間航空当局の支援のもと実施されたとされています。同社は今後、中東での展開を深め、現地パートナーと商用サービス網の構築を進める方針を示しました。想定される領域として、物流に加えて緊急医療支援や海上支援なども挙げられています。
背景:大型ドローンが「実験」から「運用」へ移る条件
大型の無人輸送は、機体性能だけでは成立しにくく、運航ルール、保守体制、緊急時対応、関係機関の調整がそろって初めて“日常のインフラ”に近づきます。今回のように、公的機関の関与が明示され、医療物流という具体用途で結果が示されたことは、低空物流の社会実装に向けた一つの段階を映す出来事と言えそうです。
Reference(s):
Chinese large UAV completes first Middle East logistics flight
cgtn.com








