欧州各国がグリーンランド支持を強化、トランプ氏の「米国管理」発言で緊張
米国のドナルド・トランプ大統領が、北極圏のグリーンランドを米国が管理すべきだとの考えを示す中、欧州各国がグリーンランドとデンマークへの支持を相次いで打ち出しています。2026年1月、同盟内の「結束」と「当事者の意思」をどう守るかが、静かに焦点になっています。
デンマーク側「軍事衝突になれば“史上最も愚かな戦争”」
デンマーク議会の国防委員会委員長ラスムス・ヤーロウ氏は、現地時間1月11日(日)の英Sky Newsのインタビューで、仮にグリーンランドをめぐって軍事的な対立が起きるなら「史上最も愚かな戦争になる」と述べました。
また、トランプ氏の「グリーンランドを掌握したい」という意向について、ヤーロウ氏は「現代史でも最も正当性のない領有主張の有力候補だ」と強い言葉で批判しています。
「グリーンランドは売り物ではない」—住民の意思をめぐる攻防
ヤーロウ氏は、グリーンランド住民の意思について「彼らは米国人になりたくないし、売り物ではないことを、非常に明確に示している」と強調しました。議論の中心が安全保障だけでなく、当事者の自己決定(どこに属し、どの道を選ぶのか)へと広がっている点が特徴です。
英国は派兵を否定せず、NATO内の調整が表面化
英国のハイディ・アレクサンダー運輸相は同じく1月11日、グリーンランドへの英部隊派遣の可能性を問われ、可能性を否定しませんでした。インタビューでは、こうした議論はNATO同盟国間の「通常の調整(business-as-usual)」だと説明しています。
報道によれば、英国当局者はフランス、ドイツの関係者とも、グリーンランドでのNATOの軍事展開の可能性をめぐり協議を進めているとされています。
「中国本土やロシアは“そこにいない”」という指摘が持つ意味
ヤーロウ氏はさらに、グリーンランドにおける中国本土やロシアの活動について「領事館もなく、鉱業活動もなく、何も所有していない。単純に“そこにいない”」と述べました。外部勢力の影響を強く想定する語り口とは距離を置き、焦点を米国の意向と同盟内調整、そして住民の意思に絞る発言として受け止められます。
背景:トランプ政権発足(2025年1月)以降、繰り返される「関心表明」
トランプ大統領は2025年1月の就任以降、グリーンランドを米国の管理下に置くことへの関心を繰り返し示してきました。これに対し英国のキア・スターマー首相は、グリーンランドの将来はグリーンランドとデンマークが決めるべきだ、との立場を示しています。
今後の注目点:言葉が先行する局面ほど、同盟内の「線引き」が問われる
- NATO内の調整:抑止力の示し方が、緊張緩和につながるのか、逆に摩擦を増やすのか。
- 当事者の意思の扱い:安全保障の議論の中で、グリーンランド住民の意向がどう位置づけられるか。
- 米欧関係の温度差:同盟を維持しつつ、どこまで異論を明確にするのか。
北極圏は距離が遠い一方で、資源、航路、安全保障が交差する場所でもあります。今回の動きは、軍事の話に見えて、実は「誰が決めるのか」という統治の原則をめぐるニュースとしても読めそうです。
Reference(s):
European nations rally behind Greenland in face of U.S. threats
cgtn.com







