イランで親政府集会が拡大、当局は「国内は完全に掌握」—抗議の背景と米欧の動き
2026年1月12日、イランで数万人規模の親政府集会が行われ、当局は国内情勢について「完全に掌握している」と強調しました。通貨安と補助金改革を発端に広がった抗議の行方に加え、米国やEUの対応が緊張を左右しそうです。
何が起きたのか:首都テヘランなどで親政府デモ
国営メディアによると、1月12日(月)、親政府のイラン人が当局の呼びかけに応じて街頭に集まりました。テヘランのエンゲラーブ広場では大規模な群衆の様子が放映され、外相セイエド・アッバス・アラグチ氏は「国内状況は完全に掌握下にある」と述べたとされています。
同様の集会はケルマーン、ザヘダーン、ビールジャンなど各地でも確認されたと報じられました。国営放送は、これらを「米国・シオニストのテロへの民衆蜂起」と位置づけています。シャフルードでは、直近の混乱で死亡した治安要員の葬儀と重なったとも伝えられました。
最高指導者アリ・ハメネイ師は、集会を米国政治家への強い警告だとして、「欺瞞的な行動をやめ、裏切り者の手先に頼るのをやめよ」との趣旨の発言をしたと報じられています。
不安定化の背景:通貨急落と補助金改革が引き金
今回の不安定化は、先月のイラン・リアルの急落と、政府補助金の大規模改革がきっかけになったとされています。経済的な不満から始まった抗議は、短期間で全国的な混乱へ広がり、警察とデモ参加者の間で激しい衝突が起きたと伝えられています。
政府側の説明:米国の「介入」を主張、治安対応を強化
アラグチ外相は1月12日、外国外交団との会合でも「完全に掌握している」と繰り返し、米国が介入していると非難しました。抗議が「暴力的で血なまぐさい」状況へ転じ、ドナルド・トランプ米大統領が介入する口実を与える形になった、という主張です。
国営側の報道によれば、当局は「戦争の準備も対話の準備もある」としつつ、デモをあおったとされる「外国要素」を問題視し、治安部隊が責任者を「追跡する」と述べたとされています。また、米国とイスラエルが国内の「テロ活動」に関与した証拠を得たとし、武器が配られる様子を示す映像の存在や、拘束者の「自白」を当局が公開する予定にも言及しました。
インターネット通信については、先週木曜日(1月8日)から遮断されているとされ、近く復旧する見通しだとも伝えられています。
米国の反応:強硬策の検討と「外交優先」の併記
トランプ大統領は1月11日(日)、軍事行動の可能性を含む「非常に強い選択肢」を検討していると述べたとされています。ホワイトハウスは翌12日、トランプ氏は外交を望む一方、必要なら武力行使も辞さない姿勢だと説明しました。
またトランプ氏は、抗議への「取り締まり」をめぐる報復の脅しを受け、イランがワシントンとの交渉を求めていると主張しましたが、イラン側がこの点に直接コメントしたとは、今回の断片情報からは確認できません。
死者数と国際的反応:EUは追加制裁を検討、欧州議会は入館禁止
半官半民メディアのタスニム通信によると、治安部隊側の死者は少なくとも111人にのぼるとされています。一方で、デモ参加者側の死者数は公表されていないと報じられました。イラン国外の人権団体は、直近2週間で約600人のデモ参加者が死亡したと推計していますが、独立した検証はできないとされています。
国際社会の対応も動いています。EUは1月12日、追加制裁を検討していると表明し、EU対外活動庁の報道官アヌアール・エル・アヌーニ氏は死傷者報道に「衝撃を受けている」と述べ、新たに「より厳しい制裁」を提案する用意があるとの趣旨を語りました。さらに、欧州議会のロベルタ・メツォラ議長は、イランの外交官や代表者の議会施設への立ち入りを禁止すると発表しています。
これに対しタスニム通信は、イラン外務省が英国、ドイツ、フランス、イタリアの特使を呼び出し、抗議への支持表明に抗議したと伝えました。イラン側は「暴徒による暴力行為」の映像証拠を提示し、各国が出した支持声明の撤回を促したとも報じられています。
今後の焦点:復旧する通信、続く抗議、対外圧力の重なり
当面の注目点は、(1)インターネットの復旧時期と情報流通の回復、(2)当局が予告する「証拠」や拘束者に関する対応、(3)EUの追加制裁の具体化、(4)米国が掲げる「強い選択肢」と外交路線のバランス、の重なりです。
街頭の熱量、経済不安、治安対応、そして外交カードが同時進行する局面では、どの発言が国内向けで、どれが対外シグナルなのかを見極める必要があります。1月13日現在、各要素が互いに影響し合い、状況は流動的です。
Reference(s):
Tens of thousands rally in Iran to show support for government
cgtn.com








