コンゴ民主共和国東部紛争、タンガニーカ州に避難民25万人超 支援が限界に video poster
コンゴ民主共和国(DRC)東部の紛争が長引くなか、隣接するタンガニーカ州が「避難先」として急速に人をのみ込み、食料・医療・住まいなど地域の受け入れ能力が限界に近づいています。
いま何が起きているのか:キブ地域の衝突が避難を拡大
混乱の中心は東部のキブ地域で、M23反政府武装勢力が関与する衝突により、数万人規模の住民が家を離れました。避難の一部は東へ向かいブルンジへ越境する一方、南キブ州の南に位置するタンガニーカ州も、相当数の避難民を受け入れていると地元当局は伝えています。
「安全を求めて移動しても、苦しみが終わらない」――避難民の声
南キブ州の州都ブカブから避難したムジンガ・アンジェラニ・サルムさんは、2025年2月にブカブがM23戦闘員に制圧された後、各地を転々としてきたといいます。現在は、タンガニーカ州の州都カレミ近郊(約10キロ)のオンガ村で暮らしています。
サルムさんは、2025年5月にンドゥフィタでキャンプ生活を送り、混雑と感染症で「多くの苦しみがあった」と振り返ります。その後、2025年8月に現在の場所へ移ったものの、状況は厳しいままだと訴えました。
具体的には、出産環境の悪さ、十分な治療が受けられない病気、まひなどの重い症状を抱える人がいることなど、生活の基盤そのものが脆弱になっています。
IOM推計:タンガニーカ州の避難民は2025年8月までに25万人超
国際移住機関(IOM)によると、タンガニーカ州の国内避難民は2025年8月時点で25万人超に増えました。特徴的なのは、約8割が「避難民キャンプ」ではなく、地元家庭に身を寄せている点です。
この形は、避難民にとっては一定の安心につながる一方で、受け入れ側の村や町に次のような負荷を一気に集中させます。
- 食料・飲料水の不足
- 家賃や住居スペースの逼迫
- 診療・薬・母子保健など医療体制の限界
- 衛生環境の悪化(感染症リスク)
受け入れ側も疲弊:「逃げるとき、食料は持ってこられない」
オンガ村の村長ブンブ・ムワンバ・アミリ氏は、人口増と食料不足が深刻化していると話します。「逃げるとき、人は食料を持ってこられない」。その現実が、受け入れコミュニティの台所や水場、診療所に連日具体的な負担として表れている状況です。
支援の現場:資金不足で物資が行き届かない
人道支援機関は対応を続けていますが、慢性的な資金不足がボトルネックになっています。食料、医薬品、シェルター(簡易住居)といった必需品の供給が追いつきにくく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2025年3月、カレミの緊急備蓄が「ほぼ尽きかけている」と警告しました。支援がいつまで維持できるのか、現場の不安は強まっています。
和平合意の「期待」と、避難生活の「現実」
2025年12月、DRCとルワンダの大統領が、東部の緊張緩和を狙う米国仲介の和平合意に署名し、一時は前向きな空気も広がりました。ただ、避難民の暮らしには目に見える変化が乏しいままだとされています。
別の避難民ワチワ・ムウィルング・イマニさんは、「家を離れたのは間違いだったのか」と自問しつつ、人道支援団体と当局に解決策を求めています。避難が長期化するほど、故郷を失った喪失感と、避難先での困窮が重なっていきます。
これから:タンガニーカ州は避難先であり続けるのか
2026年1月現在も東部の紛争は収束の兆しが見えにくく、タンガニーカ州が「最後の受け皿」となり続ける可能性があります。その一方で、受け入れ家庭と地域サービスが持ちこたえられる限界が近いという懸念も強まっています。避難民の尊厳ある生活と、受け入れ側の暮らしを同時に守るために、何を優先し、どこへ資源を配分するのか。現場は重い問いを突きつけられています。
Reference(s):
cgtn.com








