シリア軍、アレッポ東方デイルハーファルを「完全掌握」 SDF撤退の翌日
2026年1月17日、シリア軍はアレッポ市の東方にある町デイルハーファルを「完全に軍事掌握した」と発表しました。前日に、クルド勢力主導の部隊が撤退に合意しており、アレッポ周辺の主導権が改めて動いています。
シリア軍が「完全な軍事掌握」を表明
シリア軍は国営テレビ向けの声明で、デイルハーファルに対して「完全な軍事的統制」を確立したと説明しました。現地に入った記者は、部隊が町の内部に展開している様子を確認したとされています。
一方で軍は、地雷や不発弾などの「戦争残存物」を除去するまで、住民に対し作戦区域に入らないよう呼びかけました。
撤退合意の背景:アレッポ周辺での衝突と再配置
今回の動きは、アレッポ市内での衝突の後、シリア軍がクルド勢力を市内から押し出した流れの延長にあります。シリア軍はデイルハーファル周辺に増援を展開し、町とユーフラテス川の間の地域から、SDF(クルド勢力主導のシリア民主軍)に撤収を求めていました。
これに対し、SDFの指導者マズルーム・アブディ氏は1月16日、米国の支援を受ける同部隊が、仲介役や「友好国」からの呼びかけを踏まえ、翌朝にユーフラテス川東側の地域へ再配置する方針を示しました。国防省は、この発表を歓迎し、SDF撤退後にシリア軍が各地域へ展開するとしていました。
住民の安全:地雷除去と避難、広がる影響
軍はここ数日、デイルハーファル周辺の住民に避難を促してきたとされ、シリア当局によれば少なくとも4,000人が地域を離れたといいます。戦闘が止まっても、地雷や爆発物のリスクが残ることは珍しくありません。軍が「作戦区域に入らないように」と強調したのは、こうした現実を反映しています。
政治面では「クルド語」を国語に:象徴的な一歩
軍事面の緊張と並行して、政治面でも注目の動きが出ています。シリア暫定指導者アフマド・アル=シャラア氏は1月16日、クルド語を「国語」とする政令を出しました。近くの暴力を受け、少数派への善意を示す意図があるとみられています。
政令は、クルドの人々がシリアの「不可欠で一体の構成要素」であると位置づけ、少数派が多い地域では公立学校でクルド語教育を可能にする内容です。独立(1946年)以降、クルドの民族的権利を初めて正式に認めた措置だとされています。
次の焦点:統合合意の停滞と、支配の広がり
シリアの暫定当局は、2024年末に長期政権が崩れた後、国内全域で統治を広げようとしています。ただ、北部の事実上の自治的な行政を国家に統合する「3月の合意」は実施が停滞しているとされ、今回の軍事的再配置と政治的ジェスチャーが、統合プロセスを前に進めるのかが焦点になります。
クルド勢力は、内戦や過去10年の過激派組織との戦いの過程で、石油資源の多い北部・北東部を含む広い地域を掌握してきました。支配線の変化は、治安だけでなく、住民の帰還、教育と言語政策、資源管理など、生活の土台に直結します。
いま注目したいポイント
- デイルハーファル周辺の地雷・不発弾処理がどの程度進むか
- 避難した住民の帰還が安全に行える環境が整うか
- SDFの再配置後、ユーフラテス川周辺の接触をどう抑えるか
- クルド語の「国語」認定が教育現場で具体化するか
- 停滞する統合合意が再始動する兆しが出るか
Reference(s):
Syrian army says 'full control' over Kurdish-held town east of Aleppo
cgtn.com








