中国とカナダ、貿易協力「新章」へ カーニー首相訪中でロードマップ合意
2026年1月16日、カナダのマーク・カーニー首相が中国を訪問し、両国は経済・貿易協力を「次の段階」へ進める枠組みづくりで足並みをそろえました。協力分野を具体化したロードマップの署名に加え、電気自動車(EV)など懸案だった摩擦でも前進が確認され、実務面の動きが注目されています。
「新たな戦略的パートナーシップ」構想、焦点は実務の積み上げ
首脳会談では、両国関係を支える新たな戦略的パートナーシップの構築を進める考えが示されました。キーワードは、狙いを定めた協力、制度(対話の仕組み)のアップグレード、そして相互利益(ウィンウィン)の発展です。
世界経済の不確実性が高まる中で、広く薄くではなく、合意した分野で着実に成果を積み上げる設計が前面に出ています。
署名された「包括的ロードマップ」:8分野で協力を見える化
今回の訪問の主要な成果として、経済・貿易協力のロードマップが署名されました。両国の協力を、運用可能な「行動計画」として整理した位置づけです。
ロードマップは、共同の経済・貿易協議体の運用に加え、次のような分野を含むとされています。
- 共同の経済・貿易委員会の運用
- 食料安全保障
- グリーントレード(環境配慮型の貿易)
- 電子商取引(EC)
- 人的交流の円滑化
伝統的な強み(一次産品や既存貿易)と、新しい成長領域(グリーン・デジタル)を同じ設計図に載せた点が特徴です。
EV・鉄鋼・農産品など「長年の摩擦」にも進展
発表内容によると、両国はEV、鉄鋼、アルミニウム、菜種(なたね)、農産品・水産品をめぐる論点について、複数の合意事項(コンセンサス)に達したとされています。
カナダ市場で中国EV「年4万9000台枠」:2024年の追加関税の扱いが焦点
とくに注目されるのがEVです。カナダは、中国のEVについて年間4万9000台を、最恵国待遇(MFN)税率6.1%で受け入れる枠を設け、2024年に導入された100%の追加課税の適用を免除すると発表しました。
中国側はこれを前向きな動きとして受け止め、今後も友好的な協議を通じてEV分野の協力を深める方針が示されています。短期的には市場アクセス、中期的にはサプライチェーンや標準、投資・技術協力の論点が実務の中心になりそうです。
対話の“格上げ”:共同委員会を閣僚級へ
摩擦管理の面では、二国間の主要な協議枠組みである中国・カナダ共同経済貿易委員会を、副大臣級から閣僚級へ引き上げることで合意しました。
知的財産や貿易救済(アンチダンピングなど)を含む作業部会の対話再開を後押しし、協力を進めながら相違点も扱う「一次窓口」としての機能を強める狙いがあります。
国連とWTOを軸に、多国間主義を再確認
両国は、国連が国際問題で中心的役割を果たすことへの支持を再確認し、世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多国間貿易体制の維持・改善、そして世界の産業・サプライチェーンの安定にも言及しました。
二国間の利害調整を進めつつ、国際的な枠組みの中で「予見可能性」を確保したいという意図がにじみます。
今後の見どころ:合意を“実装”できるか
ロードマップに盛り込まれた28の協力措置は、数の多さよりも、実行可能な手順として運用されるかが問われます。閣僚級に格上げされる委員会が、協力拡大と摩擦の適切な処理を両立できるのか。2026年の両国関係は、合意文書から現場の成果へと移る局面に入りました。
Reference(s):
cgtn.com








