マスク氏、OpenAIとマイクロソフトに最大1340億ドル請求へ 4月に陪審裁判予定
イーロン・マスク氏が、ChatGPT運営のOpenAIとMicrosoftに対し最大1340億ドルの支払いを求める構えです。2026年1月16日(今週金曜日)の裁判書面で、創業初期の支援によって両社が得たとされる「不当な利益」の返還(ディスゴージメント)を主張しました。
何が起きたのか:最大1340億ドルの「不当利得」返還要求
マスク氏側は連邦裁判所への提出書面で、OpenAIが2015年の共同創業以降のマスク氏の貢献により655億〜1094億ドルの利益を得たと主張。さらにMicrosoftもOpenAIとの提携から133億〜251億ドルの利益を得たとして、合算で最大1340億ドル規模の請求につながる構図です。
マスク氏の主任弁護士スティーブン・モロ氏はReutersに対し、「マスク氏なしにOpenAIは存在しなかった。資金、評判、事業拡大(スケール)の知見を提供した」とする趣旨の見解を示しています。
OpenAIは「真面目でない要求」、Microsoftはコメント控え
これに対しOpenAIは、今回の請求を「真面目でない要求」と位置づけ、同社がいうところのマスク氏による「ハラスメント・キャンペーン」の一部だと反論しました。
Microsoftは、補償額の請求に関するコメント要請に回答しなかったとされています。また、Microsoft側の弁護士は別の局面で、同社がOpenAIを「幇助(aid and abet)」した証拠はないとの立場を示しています。
背景:マスク氏は2018年に離脱、現在はxAIで「Grok」を運営
書面によれば、マスク氏は2018年にOpenAIを離れ、現在はxAIを率いて競合チャットボット「Grok」を運営しています。訴えの骨格は、OpenAIが設立時の使命に反して、営利企業への再編を進めたという問題提起です。
マスク氏が主張する「貢献」の内訳
- 約3800万ドルの拠出(OpenAI初期シード資金の約60%)
- 人材採用への関与
- 共同創業者への人脈提供
- 立ち上げ期の信用・注目度(クレディビリティ)を補強
裁判の見通し:陪審で審理、2026年4月開始見込み
カリフォルニア州オークランドの裁判官は今月、この案件を陪審(jury)で審理する判断を示し、裁判は2026年4月に始まる見込みとされています。
マスク氏側は、陪審が両社いずれかの責任を認定した場合、返還請求に加えて懲罰的損害賠償(punitive damages)や差し止め命令(injunction)なども求め得るとしています(ただし差し止めの具体像は書面で特定されていません)。
争点は「金額」だけではない:専門家証言の信頼性も
今回の損害額算定は、マスク氏側の専門家証人である金融経済学者C. Paul Wazzan氏が評価したとされています。マスク氏側は、スタートアップの初期投資がのちに何桁ものリターンを生むことがあるのと同様に、返還対象の「不当な利益」は当初の拠出額を大幅に上回り得ると論じました。
一方でOpenAIとMicrosoftは、同日に別の書面で、専門家証言の範囲制限を裁判所に求めています。両社は分析について「作り話」「検証不能」「前例のない手法」などと強く反発し、非営利組織から元寄付者で現在は競合でもある人物へ巨額移転を促すのは「非現実的」だと主張。損害算定の手法が陪審をミスリードしかねない、というのが両社の論点です。
いま注目される理由:AIの「使命」と「収益化」の境界線
今回の対立は、金銭の多寡にとどまらず、AI開発組織が掲げる使命と、事業の収益化・組織再編の整合性をどこまで説明できるか、という問いもはらみます。4月の陪審裁判では、初期支援の評価、組織の意思決定、提携による価値の帰属など、論点が複層的に交差しそうです。
Reference(s):
A $134-billion-dollar question: Is OpenAI nothing without Elon Musk?
cgtn.com








