「弱い統治がテロを招く」2025テロ指数が映すアフリカの難題
2026年1月時点でも、アフリカでの過激派暴力は世界で最も深刻な地域の一つとされます。2025年版「グローバル・テロリズム・インデックス(GTI)」が示したのは、軍事介入や外交努力が続いても、テロが根深く残る現実でした。
なぜ「対テロ」がうまく進みにくいのか
CGTNの報告で、セキュリティ企業Beacon Security and Intelligence Limitedのマネージングディレクター、カビル・アダム氏は、テロが拡大する土台として「統治(ガバナンス)の弱さ」を挙げています。特に問題になりやすいのが、治安部門の統治の弱さだといいます。
同氏によれば、治安部隊の強硬姿勢や、十分に機能しない司法制度があると、過激派はそこに付け込み、不満や恐怖を勧誘の材料にしてしまうという構図が生まれます。
ホットスポットはサヘルから「アフリカの角」まで
GTIが強調する主要地域として、サヘル、チャド湖盆地、アフリカの角、中部アフリカ、そしてモザンビーク北部カーボデルガードが挙げられています。これらの地域では、次の条件が重なりやすいと整理されています。
- 政治的不安定
- 弱いガバナンス(特に治安・司法)
- 天然資源をめぐる競合
こうした環境が、過激主義が浸透しやすい「余白」を生み、組織が拡大・勧誘・再編する時間を与えてしまう、という見立てです。
2025年GTIが示した「最も影響を受けた国・地域」
GTIは、攻撃件数、死亡者、負傷者、誘拐などを5年加重平均で追跡し、地域ごとの影響の大きさを可視化します。2025年版では、アフリカで影響が大きい国として、ブルキナファソ、マリ、ナイジェリアが上位に並び、続いてソマリア、ニジェール、コンゴ民主共和国、カメルーン、モザンビーク、チャド、スーダンが挙げられています。
アダム氏は「テロが生き残れる条件が変わっていない」ことが、同じ国が繰り返し登場する理由だと語ります。統治が弱く、資源が不足する、あるいは管理がうまくいかない状況に、武器へアクセスできる武装勢力が重なると、暴力の連鎖が固定化しやすいという整理です。
各地で続く脅威:武装勢力が“資金”と“足場”を得る構造
報告では、地域ごとの課題も具体的に触れられています。
- ナイジェリア/カメルーン:ボコ・ハラムや「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」との戦いが続き、軍事的努力が重ねられても攻撃が起きています。
- ソマリア:アル・シャバーブが、長年の軍事圧力の下でも脅威として残り、致命的な襲撃を続けています。
- コンゴ民主共和国:武装勢力が金、コバルト、コルタンといった資源の搾取を通じて資金を得ているとされます。
- モザンビーク(カーボデルガード):イスラム主義の反乱がガス事業や重要な交易ルートを妨げています。
武器が安く、入りやすい——暴力を長引かせる要因
アダム氏が強調するもう一つの推進力が、武器の入手容易性です。武器が紛争地へ密輸され、暴力の“コスト”が下がることで、衝突が収まりにくくなるという指摘です。
例としてスーダンでは、かつて8,500ドルだったAK-47が、地域によっては100ドル程度まで下がっていると述べられています。価格が下がれば、それだけ武装のハードルも下がり、治安の悪化が連鎖しやすくなります。
「軍事だけ」では届きにくい領域がある
今回の報告が投げかける問いは、対テロの中心を軍事に置き続けるだけで十分なのか、という点です。統治の質(治安・司法を含む)、資源管理、武装勢力の資金源、武器流通——これらが絡み合うと、単発の作戦や短期の安定化では、根の部分に届きにくい構造が見えてきます。
2025年GTIが描いた厳しい地図は、2026年に入った今もなお「どこを変えれば暴力の循環がほどけるのか」という難題を、静かに突きつけています。
Reference(s):
cgtn.com








