英デボン沖で巨大タコ急増、漁業に「思わぬ特需」 video poster
英イングランド南西部(デボン、コーンウォール)沖で巨大タコが大量に確認され、港の水揚げや地元の商売の空気まで変えつつあります。カニ漁の“邪魔者”である一方、国際市場で高値がつくことで、漁業の収益構造を塗り替える動きにもなっています。
何が起きている?「地中海のはずが…」巨大タコが大量に
きっかけは、コーンウォール沿岸の海域を探索していたダイバーの気づきでした。その後、漁師たちも同様の変化を実感。デボンとコーンウォール周辺の海が、巨大タコで「埋め尽くされる」ような状況になっているといいます。
現場では、この現象を「侵入(invasion)」と呼ぶ声もあります。タコは本来地中海のイメージが強い生き物ですが、いまは英南西部の漁具の中に入り込み、カニを食べてしまうケースが相次いでいます。
港に積み上がる木箱:Brixhamで“商業的な規模”に
こうした増加は、ここ最近の一過性の話ではなく、この約1年にわたって続いているとされます。デボンの主要港の一つ、Brixham(ブリクサム)などでは、漁船が大量のタコを水揚げしてきました。
Brixham Trawler Agentsのマネージングディレクター、バリー・ヤング氏は水揚げ規模について、次のように語っています。
- 「いまなら1日20トンが見える」
- 「最大の日はおそらく36トンほど」
港の岸壁に木箱が高く積まれる様子は、単なる珍事ではなく、地域の“収入源”として無視できない規模に達していることを示しています。
“困りもの”なのに儲かる? カニ籠に入り込み、カニやロブスターを捕食
増えたタコが歓迎一色かというと、そうではありません。タコは背骨がなく、体を柔軟に変形させられるため、甲殻類の漁具(カニやロブスターの籠)に入り込みやすいとされます。そして籠の中でカニやロブスターを食べてしまうことが、現場の大きな悩みになっています。
その結果、従来の主力であるカニなどの漁獲が急減したと感じる乗組員もいる一方で、タコそのものの販売額が損失を埋める局面も出ています。国際市場での取引価格は、タコが1トンあたり約1万ドルとされ、漁師たちが漁のやり方を調整する動機にもなっています。
港の外にも波及:レストランも鮮魚店も「タコ推し」に
変化は漁業者だけにとどまりません。Brixhamではレストランや鮮魚店、さらにSNSの投稿まで、いわば「タコに夢中」な空気が広がっているとされます。シェフが新しい調理法を披露するなど、食のトレンドとしても注目が集まりました。
この先の焦点:続くのか、適応が進むのか
巨大タコの増加が今後も続くのか、何が背景にあるのかは、現時点で確定的には語られていません。ただ、現場が直面している論点は整理できます。
- 漁獲の置き換え:カニやロブスターの減少を、タコの収益でどこまで補えるのか
- 漁具・操業の工夫:籠への侵入をどう減らすか、現場の知恵が試される
- 地域経済への波及:水揚げ増が飲食・小売・物流にどう影響するか
海の変化は、ときに脅威として、また別の形では機会として現れます。英南西部で起きている「巨大タコ・ブーム」は、その両面を同時に突きつけている出来事と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com







