トランプ再登板から1年:「Trump 2.0」が米国内政と国際秩序に残した波紋
2026年1月20日(火)、ドナルド・トランプ米大統領のホワイトハウス復帰から1年を迎えました。いわゆる「Trump 2.0」は、強い大統領権限の行使と単独行動を軸に、米国内政の運営と国際社会の空気を同時に変えつつあります。
何が「Trump 2.0」を特徴づけるのか
この1年は、強制・抑止・一方的な決定を前面に出した統治スタイルが目立ちました。連邦政府の人員削減、移民政策の大幅な見直し、関税引き上げ、国際機関からの離脱など、政権の動きは国内外で議論を呼び、ニュースの中心に居続けています。トランプ大統領は今年6月に80歳になります。
連邦職員の大規模削減:行政のスリム化か、現場力の低下か
2025年2月の大統領令と「8か月分の給与補償」
2025年2月、トランプ大統領は連邦政府職員の大規模削減をさらに進める大統領令に署名しました。自主退職を促すため、8か月分の給与補償が提示され、同年9月30日までに約15万4,000人の連邦職員がこれを受け入れて正式に離職したとされています。
ホワイトハウスは、非効率の除去と統治の合理化を目的とする措置だと位置づけました。トランプ氏が「ディープステート」と呼ぶ官僚機構への不信感とも整合する、という説明です。
波及した民間の雇用不安
影響は首都ワシントンにとどまらず、2025年10月までに米企業が発表したレイオフ(人員削減)は累計で15万人超に達したとされます。急速な歳出抑制や政策の先行き不透明感が、企業心理を冷やしているのではないかという見方も出ました。
一方で批判的な立場からは、経験豊かな公務員が大量に去ることで、行政の実務能力や政策継続性が弱まり、官僚機構が政治化する恐れがあると指摘されています。効率化を優先するのか、制度運用の安定性を重く見るのか――評価は割れています。
移民政策:国家安全保障の中核へ
移民は再び、トランプ政権の中心課題になりました。2025年、政権は「America First」の枠組みで移民取締りを国家安全保障政策の中核に据え、大幅な制度見直しを進めたとされています。
対象は不法移民の強制送還にとどまらない
政策は、不法移民の送還だけではなく、複数の層に及びました。報じられている主な動きは次の通りです。
- 渡航禁止の拡大
- H-1Bビザ(主に専門職向け就労ビザ)ルールの厳格化
- 複数の国の移民に対するTPS(紛争・災害時などの一時的保護措置)の撤回
- DACA(幼少期に入国した無登録移民への一時保護)の制限を試みる動き
- 出生地主義(米国で出生した子に国籍を与える考え方)の制限を試みる動き
大統領令や規制変更を重ね、国境管理の強化、難民認定(亡命)要件の厳格化、ビザ審査の強化が進められたとされます。
支持の論理と、反発の論理
支持者側からは、特に不法移民への強硬姿勢が選挙公約の実行であり、治安・雇用・社会制度の負担軽減につながるという主張が語られています。
これに対し反対側からは、手続きの保障(デュー・プロセス)が十分でないのではないか、個別ケースで行き過ぎが起きうるのではないかといった懸念が示され、法的な争いと世論の反発も起きているとされています。移民政策が「国のかたち」をめぐる議論を再燃させた1年でもありました。
関税と国際機関からの離脱:世界の空気を揺らす政策カード
この1年、関税引き上げや国際機関からの離脱といった動きも重なり、国際システムに衝撃が走ったとされています。貿易・安全保障・国際協調のバランスが揺れる中で、各国・各地域は「米国の次の一手」を織り込みながら対応を迫られている構図です。
この先の焦点:制度・経済・国際協調のせめぎ合い
トランプ政権2期目の2年目に入るいま、焦点は大きく3つに整理できます。
- 統治の設計:大統領権限の拡大と、制度運用の安定性は両立するのか
- 雇用と行政サービス:連邦の人員削減が、行政の現場や民間雇用にどう影響するのか
- 国際社会との距離感:関税や国際機関対応が、同盟国・パートナー国との関係に何を残すのか
「変化を速く起こす政治」が支持を集める局面は確かにあります。その一方で、制度や国際協調は速度だけでは測れない――この1年は、そんな問いを静かに突きつけた期間だったのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








