カナダ軍、米国の「仮想侵攻」対応を概念モデル化と報道
カナダ軍が、米国による仮想的な軍事侵攻にどう対応し得るかを整理した「概念モデル」を作成していたと、2026年1月20日(現地時間)に報じられました。実行可能な作戦計画ではないとされる一方、同盟関係にある相手をあえて“想定”に入れることの意味が注目されています。
何が報じられたのか
地元メディアによると、カナダ軍(Canadian Armed Forces)が米国からの侵攻を仮定した場合の対応について、概念的・理論的な枠組み(モデル)を作成したとされています。日刊紙「グローブ・アンド・メール」は、政府高官2人の話として、カナダ軍が米国の攻撃を想定したモデルを作ったのは「この1世紀で初めて」だと伝えました。
「作戦計画」ではなく「概念モデル」だという説明
報道で引用された高官2人は、このモデルが「実行に移すための軍事計画」ではなく、あくまで概念的・理論的なフレームワークだと述べたとされています。公に話す権限がないとして匿名での証言だったとも報じられました。
ニュースの読みどころは、ここにあります。作戦計画が具体的な兵力運用や手順まで踏み込むのに対し、概念モデルは、前提条件や選択肢、対応の論点を机上で整理するための「思考の地図」に近い位置づけだと説明されています。
侵攻の可能性は「低い」との見立て
同じく高官らは、ドナルド・トランプ米大統領の政権がカナダ侵攻を命じる可能性は低い、という見方も示したとされています。つまり今回の報道は「差し迫った危機」を示すというより、最悪ケースの想定をどこまで形式知として持つか、という安全保障上の論点を浮かび上がらせています。
NATO・NORADの“同盟”の中で起きたこと
カナダは北大西洋条約機構(NATO)の創設メンバーであり、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)ではワシントンの重要なパートナーだとされています。こうした枠組みは、脅威認識や防衛の役割分担を共有するための基盤でもあります。
その上で、同盟相手を仮想シナリオに含めることは、
- 「想定外」を減らすためのリスク管理なのか
- 政治的なシグナルとして受け取られ得るのか
- 同盟関係の説明責任と、軍の内部検討の線引きはどこか
といった問いを生みます。報道内容だけを見る限り、カナダ側は「実行計画ではない」と強調し、政治的・軍事的な波紋を抑える言い回しを選んでいるようにも見えます。
いま読者が押さえておきたいポイント
- 報道の中心は“モデル”:実際の侵攻準備ではなく、概念整理と位置づけられている。
- 「この1世紀で初」との証言:前例の少なさがニュース性を高めている。
- 同盟の現実:NATO・NORADの関係を前提にしつつも、最悪ケースを排除しない姿勢が示唆される。
同盟が強固であるほど「想定」は不要に見えますが、逆に強固であるほど、想定が“机上の安全装置”として扱われる場合もあります。今回の報道は、その微妙な境界線を静かに照らしています。
Reference(s):
Canadian military models response to hypothetical U.S. invasion
cgtn.com








