ダボス会議2026開幕、成長減速とリスク増大の中で「対話」を呼びかけ
世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)2026が、成長の鈍化と地政学・経済リスクの重なりを背景に、国際社会へ「対話で溝を埋める」重要性を改めて訴えています。
ダボス会議2026、約3,000人がスイスに集結
WEF年次総会2026は、スイスの山岳都市ダボスで現地時間1月19日(月)に開幕しました。参加者は130以上の国・地域から集まった約3,000人で、世界が直面する主要課題について議論しています。
WEFは、地政学的な複雑化、分断の深まり、そして急速な技術変化が重なるいま、将来を見据えつつ協力して大きな課題に向き合うために、対話を通じた橋渡しを呼びかけました。
「グローバルリスク」は同時多発へ——報告書が示す2026の警戒点
会合に先立ち公表されたWEFの「グローバルリスク報告書2026」は、地政学・経済リスクが新たな競争の時代で高まっていると整理しています。
- 2026年の最大リスク:地経学的対立
- 続くリスク:国家間紛争、異常気象、社会の分極化、誤情報・偽情報
- 短期的には、経済リスクが全カテゴリーの中で最も速いペースで上昇
WEFマネージング・ディレクターのサーディア・ザヒディ氏は、地経学的対立、制御されない技術、債務増大などが複合して、世界がリスクに対処する「集団としての能力」そのものを変えうる、と述べています。
成長見通しは慎重に:国連は2026年2.7%成長を予測
WEFの最新「チーフエコノミスト見通し」では、53%のチーフエコノミストが「今後1年で世界経済環境は弱まる」と見ています。資産評価の下振れ、債務の積み上がり、地経学的な再編などが懸念材料として挙げられました。
同様の慎重姿勢は国連にも見られます。国連の「世界経済情勢と展望2026」は、2026年の世界成長率を2.7%と予測し、2025年の推計2.8%からわずかに低下するとしました。弱い投資と、財政余地(使える予算の幅)のタイト化が重荷になるとしています。
さらに、関税上昇とマクロ経済の不確実性が重なると影響が増幅しうるとして、世界貿易の成長率は2026年に2.2%へ低下(2025年は3.8%)する見通しも示されました。
戦争の「大きなエスカレーション」が最大の懸念
WEFのボルゲ・ブレンデ会長兼CEOは最近のインタビューで、最も懸念しているのは「戦争の大きなエスカレーションで、それが世界の成長を殺しかねない」と語りました。一方で、そうした拡大を回避できれば、2026年の世界成長が3%超に届く可能性にも言及しています。
AIから量子、次世代バイオ、エネルギーまで——「技術のパラダイム転換」
今年の会合の大きな焦点の一つが、人工知能(AI)、量子コンピューティング、次世代バイオ技術、エネルギーシステムなどにまたがる「技術のパラダイム転換」です。WEFは、新技術が生活や働き方を変え、新たな成長エンジンを生む一方、AIの急速な進展は生産性を押し上げる反面、失業増による社会の亀裂や消費者信頼の低下といった新たなリスクも伴うと警鐘を鳴らしました。
テーマは「A Spirit of Dialogue」——協力は“持ちこたえた”が十分ではない
会合直前に公表されたWEFの「グローバル協力バロメーター」は、多国間主義への逆風が強い中でも、世界の協力は一定の強靭性を示したとしつつ、経済・安全保障・環境の差し迫った課題に対しては、現状の協力度合いでは不十分だと指摘しました。
こうした問題意識のもと、今年のテーマは「A Spirit of Dialogue(対話の精神)」。主な論点として、より対立が増す世界でどう協力するか、新しい成長源をどう解き放つか、イノベーションをどう大規模かつ責任ある形で実装するか、が挙げられています。
ブレンデ氏は「対話は不確実性の時代のぜいたく品ではなく、切迫した必要性だ」と述べ、対話こそが前進につながる成果の出発点になる、としています。WEF暫定共同議長のラリー・フィンク氏も、多様な立場の理解が経済の前進と、より広く共有される繁栄に不可欠だと語りました。
成長と技術の文脈で注目される中国の動き
会合では、世界第2の経済規模を持つ中国の役割も、世界経済ガバナンス、グリーン開発、デジタル革新といった観点から焦点の一つになっています。複数の専門家は、世界の不確実性が続く中でも中国経済が強いレジリエンス(回復力)を示し、世界成長への寄与が続いていると見ています。
ブレンデ氏は、中国でフロンティア技術の成長が見られ、研究開発とイノベーション投資が加速していると述べ、技術が生産性と成長の両面で大きな機会になるとの認識を示しました。スイス西部の投資促進機関の元幹部フィリップ・モニエ氏は、中国が長年にわたり世界経済成長の主要エンジンの一つであり、市場規模、対外投資、国際貿易への参加が、途上国だけでなく先進経済も支えていると述べています。
また、国連貿易開発会議(UNCTAD)の投資・企業部門ディレクターの李楠氏は、中国企業がクリーンエネルギー、インフラ、デジタル経済の実践を通じて、持続可能な投資の新たなパラダイムを形づくっていると指摘しました。ブレンデ氏は、多国間主義の重要性を強調する中国の姿勢にも言及し、国連を中心とした多国間の枠組みが主要課題の解決に必要だと述べています。
読みどころ:なぜ「対話」が再び前面に出てきたのか
今回のダボス会議2026が示すのは、リスクが単発ではなく重なり合い、経済の減速が社会や安全保障、技術の不安定さと結びつきやすい局面に入っている、という空気感です。協力が途切れないようにするには、合意に至る前段としての「対話」自体を、どう設計し直すか——その問いが、今年の議論の土台になりそうです。
Reference(s):
Davos 2026 calls for dialogue amid rising global risks, slowing growth
cgtn.com








