マクロン氏「いじめより尊重を」 ダボスで米関税圧力に反発 video poster
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は今週、スイス・ダボスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)の場で、米国の関税圧力を「受け入れられない」と述べ、「いじめより尊重を」「法の支配を暴力性より優先する」と強調しました。米国のドナルド・トランプ大統領が、グリーンランドをめぐる構想に反対する国々へ追加関税(levies)を示唆したことを受けた発言です。
何が起きたのか:ダボスでの“言葉の応酬”
マクロン氏は演説で、フランスと欧州が「国家主権と独立」「国連とその憲章」を重視すると述べました。さらに、欧州は「より強く、より自律的(autonomous)な欧州」を目指すとし、米国による一連の関税の積み上げに強い懸念を示しました。
会場では、先週公の場で充血した目が見られたことにも触れられ、当日はサングラス姿で登壇した様子も伝えられています。
焦点は「関税」だけではない:主権と“ルール”の話
マクロン氏が問題視したのは、関税そのものの負担だけではありません。発言の軸にあったのは、次の2点です。
- 領土・主権に関わる問題を、関税をてこにして動かすこと(「領土主権に対するレバレッジとして使われるなら、なおさら受け入れがたい」)
- 国際社会が“ルールなき世界”へ傾くことへの危機感(「効果的な集団的ガバナンスのない世界」→「容赦ない競争」)
「最強者の法」に屈してはならない、という言い回しは、通商摩擦を“力関係”の問題として捉える視点をにじませます。
EUが検討する「反威圧措置」とは
マクロン氏は、EUが米国を相手に「反威圧措置(anti-coercion instrument)」の使用を考えざるを得ない状況に言及し、「そうした検討を迫られていること自体が衝撃的だ」と述べました。
反威圧措置は、経済的な圧力(貿易・投資・関税など)で政策変更を迫られた場合に、EUとして対抗措置を取り得る枠組みです。今回の文脈では、通商カードが安全保障や領土問題に接続されることへの警戒が、議論を押し上げている格好です。
マクロン氏が描く米欧関係:「競争」の輪郭
マクロン氏は米国との関係を、同盟や協調だけでなく「競争」としても語りました。具体的には、米国が貿易協定を通じて欧州の輸出利益を損ない得ることや、「最大限の譲歩」を求め、欧州を弱め「従属」させる意図があるかのように見える、と表現しました。
言葉は強いものの、演説全体は「欧州の自律性を高める」という従来からの路線を、関税と主権の問題で改めて前面に出した内容だったと読めます。
このニュースをどう見るか:通商が“価値”と結びつく時代
今回のやり取りが示すのは、関税が単なる景気・物価のツールではなく、外交・安全保障・価値観(法の支配、主権)と直結しやすくなっている現実です。交渉のテーブルが経済だけで完結しない以上、各国・各地域が「何を譲れない線」として置くのかが、発言の言葉選びにも表れやすくなります。
ダボスは例年、協調ムードを演出しやすい場でもあります。その舞台であえて「いじめより尊重を」と言い切ったこと自体が、いまの緊張感を静かに映しています。
Reference(s):
Macron: 'We prefer respect to bullies, and rule of law to brutality'
cgtn.com







