ダボスで波紋、トランプ氏「平和評議会」に各国が揺れる
世界経済フォーラム(WEF)の年次総会が開かれているスイス・ダボスで、ドナルド・トランプ米大統領が主導する「平和評議会(Board of Peace)」構想が各国の間に緊張と戸惑いを広げています。参加が「自由な選択」というより「断りにくい招待」になっている――そんな空気感が、1月のダボスで静かに噴き出しています。
「平和評議会」とは何か:当初はガザ戦後構想、いまは“世界危機”へ
報道によると、この枠組みは当初、戦後ガザの統治・復興を管理する構想として考えられたものの、トランプ氏は現在、国連(UN)が担ってきたような「世界的危機への対応」にも関わり得ると述べています。
トランプ氏は今週の記者会見(火曜日)で「国連は好きだが、潜在力を発揮できていない」とも発言したとされています。国連を否定するというより、「別の卓(テーブル)」をつくる発想が、各国に判断を迫っています。
ダボスで広がる本音:「参加しないリスク」と「参加する不確実性」
ダボスに集まったアラブ諸国、ラテンアメリカ、欧州の政治家・関係者の一部は、招待への対応をめぐり「選択というより不可避に感じる」と私的に語ったと報じられています。あるアラブ側の当局者は「誰がトランプにノーと言えるのか」と述べたとも伝えられました。
背景として、再び大統領に就任して以降のトランプ氏が、複数の案件で強い単独志向・強硬な手法を取ってきた点が指摘されています。報道では、ウクライナをめぐるロシアとの直接交渉(キーウや欧州同盟国が脇に置かれた形)、広範な関税、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の公然拘束、イラン核施設へのミサイル攻撃、グリーンランド獲得への強い意欲などが例として挙げられています。
参加国はどれくらい?「約60に招待、35人がコミット」との説明
ホワイトハウス高官によれば、ホワイトハウスは先週、英国、ロシア、中国本土など約60の政府に招待状を送り、これまでに約35人の世界指導者が参加を「コミット」したとしています。評議会の議長はトランプ氏が務め、ダボスでの式典(木曜日)で、メンバーを登録する見通しだと報じられています。
最大の火種:議長権限と「1席10億ドル」の参加条件
欧州の一部指導者・外交官は、草案の憲章(チャーター)に不安を示しているとされます。特に焦点になっているのが次の点です。
- 意思決定が議長(トランプ氏)に集中し得る設計
- 議長の交代条件が厳格(自発的辞任か、執行委員会の全会一致による「職務不能」を理由とした解任のみ、とされる)
- 本部の所在地や法的地位が不明(何を根拠に、どんな権限で動くのか)
- 参加に「10億ドル」の価格(憲章に盛り込まれていると報道)
ある欧州外交官は、この手続きが「官僚主義にはまり込んだ悪夢」と表現し、議長の交代ルールが結果的に「生涯議長」を想起させる、と語ったと伝えられています。
各国の対応:拒否・保留・慎重姿勢が混在
報道によると、欧州では参加をめぐる温度差が鮮明です。
- フランス:エマニュエル・マクロン大統領は招待を断る意向。外相は、憲章が国連加盟などフランスの国際的コミットメントと両立しないと述べたとされます。
- ノルウェー、スウェーデン:参加を見送ったと報道。
- イタリア、ドイツ:評価中。
- EU:加盟国間で協議は続くが、最終判断は各国が国益に基づき個別に行う、との見方。
- 英国:キア・スターマー首相は同盟国と協議中とし、明確な支持は避けたと伝えられています。
一方で、トランプ氏はマクロン氏の不参加姿勢に反発し、貿易措置に言及するなど強硬な言葉で応酬したとも報じられました。こうしたやり取り自体が、各国の「参加・不参加」の判断を、政策論だけでなく対米関係の空気も含めて複雑にしています。
「国連の代替」なのか、それとも“影響力の場”なのか
外交・安全保障の専門家の一部は、この構想を「米国の影響圏を管理するための装置」と見ると報じられています。中東研究機関のポール・セーラム氏は、評議会の目的があいまいで詳細が流動的な点は、相手に先を読ませず交渉力を最大化するトランプ氏の権力運用と整合的だ、と述べたとされています。
いまダボスで問われているのは、評議会が本当に紛争の仲裁や復興の実務に資するのか、あるいは「参加すること自体」が米国との関係を測る踏み絵になってしまうのか、という点かもしれません。国連の枠組み、二国間外交、新しい小規模枠組み――複数の“場”が並ぶ時代に、各国がどこに重心を置くのか。2026年1月のダボスは、その試金石になりつつあります。
Reference(s):
cgtn.com








