尹錫悦元大統領の逮捕妨害事件、特別検察が判決を控訴——一部無罪と量刑に異議
韓国で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)元大統領をめぐる「逮捕(身柄確保)の妨害」事件が次の局面に入っています。2026年1月22日、独立特別検察(特別検察官)の捜査チームが、第一審判決の一部無罪判断と量刑(懲役5年)を不服として控訴しました。
何が起きたのか(控訴が相次ぐ)
特別検察を率いるのは、尹氏の内乱などの疑惑を捜査してきた趙恩淑(チョ・ウンスク)特別検察官のチームです。チームは、第一審が一部の罪について無罪とした点などを争う構えです。
一方で、尹氏側もすでに2026年1月19日に控訴しており、双方が上級審での判断を求める展開となりました。
第一審判決:懲役5年、一部の訴因は無罪
報道(ライブ映像)によると、ソウル中央地裁は先週金曜日(2026年1月16日)、尹氏の「逮捕妨害」関連の事件で懲役5年の判決を言い渡しました。
ただし第一審は、いくつかの訴因について無罪判断も示しました。特別検察は、ここを大きな争点として控訴に踏み切った形です。
特別検察が争うポイント:無罪判断と「量刑の軽さ」
特別検察は、次の点を中心に第一審を争うとしています。
- 一部無罪とされた訴因(例:虚偽の報道資料を配布するよう命じたとされる点)
- 量刑:特別検察は懲役10年を求刑していましたが、第一審は懲役5年でした
Yonhap News Agencyによれば、最も重い中核的な疑いは「大統領在任中、官邸での身柄確保の令状執行を捜査側ができないよう、大統領警護(警護サービス)に指示した」とされる点です。時期は「昨年1月」(2026年1月時点では2025年1月)とされています。
尹氏側の主張:手続きの問題と証拠の扱い
尹氏の弁護団は、裁判手続きに不備があったことや、提出を求めた証拠が不当に退けられたことなどを理由に控訴したとされています。控訴審では、事実認定だけでなく、手続きと証拠判断の妥当性も主要な争点になりそうです。
背景:2024年12月の非常戒厳から、2026年の控訴へ
今回の事件は、2024年末以降の政治・司法の大きな流れの中に位置づけられています。提示されている時系列は次の通りです。
- 2024年12月3日夜:尹氏が非常戒厳を宣言
- 数時間後:国会が解除し、非常戒厳は撤回
- 2025年1月:尹氏が「内乱の首謀者」容疑などで拘束・起訴(在任大統領として初の逮捕・起訴とされる)
- 2025年4月:憲法裁判所が弾劾訴追を認め、尹氏は罷免
- 2026年1月16日:逮捕妨害事件の第一審判決(懲役5年)
- 2026年1月19日:尹氏側が控訴
- 2026年1月22日:特別検察が控訴
この先の焦点:2月19日の「内乱」判決予定も並走
逮捕妨害事件の控訴審が進む一方で、尹氏の「内乱」罪に関する第一審判決は2026年2月19日に予定されているとされています。特別検察は、この内乱罪について死刑を求めたとされています。
同じ人物をめぐる複数の裁判が同時並行で進む中、司法がどのように事実認定と責任の範囲を切り分け、判断を積み上げていくのか。韓国の政治ニュースとしてだけでなく、「権力」と「法」の距離感を考える材料としても注目が集まりそうです。
Reference(s):
S. Korea special counsel appeals verdict in Yoon arrest case
cgtn.com








