米墨国境のもう一つの危機:リオグランデの「水」が揺らす1944年協定 video poster
米墨国境でいま注目されるのは移民だけではありません。テキサス州側の国境では取締り強化で移民の流れが抑えられる一方、リオグランデ川の水をめぐる問題は、より解決が難しい「もう一つの国境危機」として浮上しています。
移民取締りの陰で進む「水」の緊張
米国の移民取締り強化により、テキサス州のメキシコ国境では移民の越境が抑えられているとされます。しかし同時に、水資源をめぐる摩擦が静かに拡大しています。
背景にあるのは、メキシコが米国に対して抱えていた「水の債務」です。報道によれば、その規模は数千億ガロンにのぼりました。
カギは「1944年の水協定」——2,000km国境を流れる川のルール
米国とメキシコは、両国の国境の大部分を形作るリオグランデ川(国境の長さは約2,000km)に沿った水の分かち合いについて、1944年の水協定に基づいて運用しています。水の供給や配分をめぐる約束事が、条約として定められている形です。
2025年12月に「水債務」は返済、それでも残る火種
CGTNのフランク・コントレラス記者の報道によると、メキシコは2025年12月に、この水の債務を米国へ返済しました。いったん区切りはついたものの、協定の枠組みそのものが、将来の両国関係を「衝突コース」に乗せかねない——そんな見立ても示されています。
なぜ「水」は移民以上にこじれやすいのか
移民政策は政権や法執行の運用で短期的に変化しやすい一方、水はインフラ、農業、地域経済、生活と直結し、合意形成に時間がかかりがちです。しかも条約という枠組みがあることで、当事者は「善意」ではなくルール解釈を巡って対立しやすくなります。
- 対象が「人の流れ」ではなく「資源」である
- 条約(1944年協定)が交渉の前提になる
- 返済で終わりではなく、今後も続く運用問題になりやすい
今後の注目点:返済後の「次」をどう設計するか
今回の返済でいったんは問題が収束したように見えても、論点は「次に同じ状況が起きたとき、どんな調整で乗り切るのか」に移りつつあります。国境をまたぐ水の共有は、日々の政治ニュースになりにくい一方で、いったん表面化すると関係全体の空気を変え得るテーマです。
米墨関係を読むうえで、移民と同じくらい「水」というキーワードが重要になってきています。
Reference(s):
cgtn.com








