アフリカCDC、mpoxの大陸緊急事態を解除へ:1年半の対応が「転換点」に
アフリカ連合(AU)の専門機関であるアフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)は2026年1月、mpox(エムポックス)について「大陸の公衆衛生緊急事態(PHECS)」のステータスを解除したと発表しました。流行が消えたことを意味するのではなく、緊急対応から、各国主導の継続的な抑え込み・排除(エリミネーション)に軸足を移す局面だとしています。
「解除」は終わりではなく、段階の切り替え
発表によると、今回の判断は、Africa CDCの緊急諮問グループの勧告を踏まえたものです。ジャン・カセヤ事務局長は、政治的リーダーシップ、域内の連帯、国際的パートナーシップを土台に「複雑な公衆衛生対応を主導できる能力が高まった」ことを反映した決定だと述べました。
一方で、PHECS解除はmpoxのリスクが消滅したという宣言ではありません。Africa CDCは、今後は緊急モードから「持続的で、国主導の排除へ向かう道筋」へ移行すると位置づけています。
緊急事態宣言は2024年8月:急増を受けて大陸規模の体制へ
Africa CDCがmpoxをPHECSとして宣言したのは2024年8月でした。大陸全体で患者が増加し、対応の統一と資金・資源の動員が必要になったことが背景にあります。
2024年の被害:疑い例8万件超、死亡1,340人
- 2024年:疑い例(suspected cases)80,276件、死亡1,340人
- 症例数は「5倍超」に増加
- コンゴ民主共和国が最も大きな影響:報告症例の96%、死亡の97%
感染が特定地域に偏っていた点は、医療アクセス、検査体制、地域の感染対策の差といった、複数の要因が重なり得ることを示唆します。今回の発表は、広域の危機として扱う枠組みが、資源配分の優先順位を明確にした側面も浮かび上がらせます。
資金1十億ドル超とワクチン500万回:数字で見る「動員」の効果
Africa CDCは、緊急事態宣言が各国・パートナーの共同対応と資金調達を後押ししたと説明しています。取り組みの柱には、地域コミュニティに根ざしたサーベイランス(感染状況の継続的監視)強化や、ワクチン配布が含まれました。
- パートナーシップを通じて、10億ドル超を拠出・集約
- 16の国・地域に、mpoxワクチン500万回超を配布
2025年には減少が進んだと評価
Africa CDCによれば、2025年の「早い時期の流行ピーク」と「遅い時期のピーク」の比較で、疑い例は40%減、確定例(confirmed infections)は60%減となりました。さらに、疑い例ベースの致命率(case fatality rate)は2.6%から0.6%へ低下したとしています。
これからの焦点:ワクチン継続と「平時の体制」づくり
Africa CDCは、緊急事態解除後の移行計画(transition plan)を進めるとしています。狙いは、ワクチン接種キャンペーンを維持しながら、感染をコントロールし、より広い意味での保健安全保障(health security)を底上げすることです。
危機対応で強化された仕組みを、流行が落ち着いた後もどう維持するか。今回の「解除」は、数字の改善だけでなく、次の波に備える行政・医療・地域の持続力が問われるフェーズに入ったことを静かに示しています。
Reference(s):
Africa CDC declares end to mpox as continental health emergency
cgtn.com








