米国のWHO離脱翌日、カリフォルニア州が感染症ネットワークGOARN参加へ
米国が世界保健機関(WHO)から正式に離脱した翌日、カリフォルニア州がWHOの国際的な感染症対応ネットワーク「GOARN」への参加を決めました。国内の枠組みが揺れる中で、州が“世界の公衆衛生の回路”につながり直す動きとして注目されています。
何が起きたのか:米国離脱の直後に、州がWHOネットワークへ
カリフォルニア州は現地時間の金曜日、WHOの「グローバル・アウトブレイク・アラート・アンド・レスポンス・ネットワーク(GOARN)」に参加したと発表しました。発表は、ダボス(スイス)で開かれた世界経済フォーラム(WEF)の場で、ニューサム知事がWHOのテドロス事務局長と会談した後に行われたとされています。
今回の参加は、米国が木曜日にWHOからの離脱を完了した「翌日」とされ、タイミングの近さが強いメッセージ性を帯びています。
GOARNとは:国境を越える感染症に“早く気づき、早く動く”仕組み
GOARNはWHOが調整する国際ネットワークで、世界各地の公衆衛生機関、政府、研究機関、検査機関、学術センター、緊急対応組織などが参加します。目的は、以下のような「新興の健康脅威」を迅速に検知し、対応につなげることです。
- 国境を越えて広がりやすい感染症の兆候を早期に把握する
- 検査・疫学調査・リスク評価などの知見を共有する
- 流行の初期段階で、対応の人材や技術を組み合わせて投入する
パンデミックになり得る事象ほど、情報と対応が遅れたときの社会的コストが大きくなります。GOARNは、その“遅れ”を小さくするための実務的な連携網だと言えます。
ニューサム知事の狙い:連邦の方針とは別に「備え」を前に進める
ニューサム知事は、トランプ政権によるWHO離脱を「無謀な決定で、カリフォルニア州民と米国人すべてに害を及ぼす」と述べたうえで、州として国際的なパートナーシップを続け、公衆衛生の備えで先頭に立つ考えを示しました。
知事室によると、カリフォルニア州公衆衛生局は、現時点でGOARNに参加する「州主導の機関」としては唯一の存在とされています。一方で、米国を拠点とする大学などの学術機関や対応組織は、引き続きネットワークに参加しているといいます。
背景にある“州の公衆衛生アップデート”:2025年からの動きが加速
今回の決定は単発のニュースというより、ここ数カ月の州の取り組みの延長線上に位置づけられています。
- 2025年12月:ニューサム知事が「Public Health Network Innovation Exchange」を発表。カリフォルニア州主導で、公衆衛生インフラの近代化を進める取り組みとされています。
- 2025年9月:オレゴン、ワシントン、ハワイとともに「West Coast Health Alliance(西海岸保健同盟)」を設立。連邦の指針とは独立して、ワクチン推奨を出す枠組みだとされています。
連邦の方針が揺れる局面で、州間連携や国際連携を“複線化”しておくことが、危機対応の速度と柔軟性を左右する――カリフォルニア州の動きは、そうした発想にも見えます。
米国のWHO離脱:理由として挙げられた点
米国の保健福祉省(HHS)は、WHO離脱の理由として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応をめぐる評価や、「緊急に必要な改革を採用できなかった」ことを挙げたとされています。米国は70年以上続いたWHO加盟を終了した形です。
これからの焦点:国際協調は“国”だけのものなのか
感染症対策は、本来は平時の制度整備(検査体制、人材、データ連携)と、非常時の即応(調査、医療資源、コミュニケーション)がセットで問われます。今回のニュースが投げかけるのは、国際協調の担い手が必ずしも「国家」に限られない時代に入りつつあるのでは、という問いです。
連邦、州、学術機関、国際機関――それぞれの役割の重なり方が変わる中で、次の健康危機に対して、どのレイヤーがどれだけ機能するのか。カリフォルニア州のGOARN参加は、その試金石の一つになりそうです。
Reference(s):
California becomes 1st U.S. state to join WHO disease network
cgtn.com








