WEF2026ダボス開幕:「対話」の裏で揺れる地政学—トランプ発言の余波も video poster
スイス・ダボスで今週開かれている世界経済フォーラム(WEF)2026は、テーマに「A sprit of dialogue(対話の精神)」を掲げました。ただ、その“対話”が始まる直前から、国際情勢の緊張感が会場の空気を左右しています。
ダボスのテーマは「対話」——しかし議論は現実に引き戻される
WEFの会場には、各国のリーダー、企業のトップ、専門家や思想家が集まり、幅広い課題を議論しています。とはいえ今週のダボスでは、理想としての「対話」だけでは整理しきれない“火種”が、議題の前に立ちはだかりました。
トランプ氏の「軍事」と「関税」発言が投げた影
注目を集めたのは、ドナルド・トランプ米大統領によるグリーンランドをめぐる軍事的な示唆と、関税に関する強い言葉です。報道によると、こうした発言はダボス入りの過程でいったん軌道修正(後にトーンダウン)されたものの、会話の前提条件として残りました。
市場や企業にとって、関税はコストの話であると同時に、同盟関係や安全保障の温度差を可視化する“政治の言語”にもなります。ダボスの廊下で交わされる短い会話が、どこか慎重になるのも不思議ではありません。
焦点は次の火種へ:ロシア・ウクライナ、そしてイラン
その後、会場の関心は別の地政学的な緊張へと移っています。代表的なのが、ロシアとウクライナの紛争、そしてイランをめぐる緊張の高まりです。
ダボスの議論が映すのは、単発の事件ではなく「同時多発的な不確実性」です。安全保障、エネルギー、貿易、そして金融環境が互いに絡み合い、どれか一つの論点だけを切り出すのが難しくなっています。
IAEAグロッシ事務局長が語る「核」をめぐる現実
今週のアジェンダの一つとして、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長へのインタビューも行われました。グロッシ氏は、次期国連事務総長の候補とされています。
核をめぐる論点は、軍事・外交の駆け引きだけでなく、監視や検証といった実務の積み重ねに支えられます。緊張が高まる局面ほど、強い言葉よりも、合意を運用し続ける仕組みが問われます。
企業側の視点:マッキンゼーのジョー・ンガイ氏が見ている景色
同じく今週、マッキンゼー・アンド・カンパニーでSenior Partner & Chairman, McKinsey Greater Chinaを務めるジョー・ンガイ氏も登場しました。
ダボスの文脈で企業の視点が重要になるのは、地政学リスクが「投資判断」「供給網(サプライチェーン)」「価格」「雇用」といった、日々の意思決定に直結するためです。政治が揺れるとき、企業は“撤退か拡大か”ではなく、まず“前提をどこまで置けるか”を探ることになります。
今週のダボスで見えてきた「問い」
- 対話は、誰と誰の間で成立するのか(当事者間か、仲介者を含むのか)
- 関税は経済政策か、外交カードか(交渉の材料としての位置づけ)
- 地政学リスクは“例外”ではなく“標準”になったのか
- 核の監視と検証を、緊張下でどう維持するか
「対話の精神」を掲げる場で、対話が試される状況が続く——それが、2026年1月のダボスが映している輪郭なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








