エジプト・中国共同調査、カルナック神殿で未記録の「聖なる湖」発見
エジプト南部ルクソールのカルナック神殿複合体で、これまで記録に見当たらなかった古代の「聖なる湖」が確認されました。儀礼に使われた“特別な水”が、神殿空間の設計や信仰の手触りを新たに浮かび上がらせそうです。
発表は2026年1月24日、モントゥ神殿区で見つかったもの
エジプト・中国の共同考古学ミッションは2026年1月24日(土)、ルクソールにあるカルナック神殿複合体のモントゥ神殿区で、古代の人工貯水施設とみられる「聖なる湖」を発見したと発表しました。
新たに確認された湖は、モントゥ神殿の囲い地の内部にあり、マアト(調和・正義・真実の女神)に捧げられたマアト神殿の西側に位置するとのことです。
面積は50平方メートル超、保存状態も良好
発見された湖は50平方メートルを超える規模で、構造がはっきりしており、保存状態も良いとされています。調査チームによれば、初期のアーカイブ(古い記録)には記載が確認されていないという点も注目されています。
「2つの聖なる湖」——南北に並ぶ独特の配置
プロジェクトの中国側責任者である賈暁兵(Jia Xiaobing)氏は、これまで知られていたモントゥ神殿の聖なる湖と今回の新発見が合わさることで、カルナックの囲い壁の内側に、南北に並ぶ2つの聖なる湖という独特のレイアウトが成立すると説明しています。
賈氏はまた、今回の発見について、エジプト考古学の歴史の中でも体系的・科学的な発掘を受けた唯一の聖なる湖だとし、とりわけ「聖なる湖」研究にとって一次資料(現場から直接得られる材料)が豊富になると述べました。
聖なる湖とは:日常用の水とは別の「儀礼のための水」
調査チームの説明によると、聖なる湖は古代エジプトの神殿建築における重要要素で、家庭などの生活用水とは区別された、神殿内の儀礼専用の“聖なる水源”とみなされていました。水が単なる資源ではなく、宗教的な秩序や清浄さの一部として設計されていたことを示す手がかりになりそうです。
8年の共同作業と技術手法、ただし地下水が制約に
モントゥ神殿の上級インスペクターで、プロジェクトのエジプト側メンバーであるヘンド・アリー(Hend Aly)氏は、この発見を「8年間の共同ミッションの努力が結実した稀少な成果」だと話しました。共同チームは、先進的な技術的手法を開発・適用して作業を進めたとしています。
一方で、地下水位の制約により、湖の基礎部分の構造はまだ十分に調べきれておらず、最初の建設年代は今後の発掘と研究で確定させる必要があるとも述べています。
周辺からは動物骨や再利用石材も
湖が見つかったエリアでは、次のような出土も報告されています。
- 牛の顎(あご)骨とみられる遺存が多数
- 後期王朝時代(紀元前747〜332年)の王や「神の礼拝者(Divine Adoratrice)」に関連する、再利用された石材ブロック
湖そのものの年代が未確定である以上、周辺出土物との関係をどう整理するかも、これからの研究の焦点になりそうです。
これから何が分かるのか:水の場所が語る「神殿の使い方」
聖なる湖は、神殿での儀礼の動線や、建築の意図を読み解く鍵になり得ます。今回の発見は、単に新しい遺構が増えたというだけでなく、既知の湖と合わせた“2つの湖の配置”が、当時の空間設計や儀礼実践の理解を更新する可能性を示しています。
地下水位という現実的な制約と向き合いながら、基礎構造と年代がどう明らかになっていくのか。今後の続報が待たれます。
Reference(s):
Egyptian-Chinese archaeologists uncover ancient 'sacred lake'
cgtn.com








