バルカンのトラック運転手がEU国境を封鎖 新「入出国」ルールに抗議 video poster
EUの新しいデジタル入出国管理(Entry/Exit System)をめぐり、セルビアのトラック運転手が国境で抗議行動を始め、セルビア〜クロアチア間の主要検問所で貨物交通が事実上ストップしています。抗議はボスニア・ヘルツェゴビナにも広がり、地域の物流に影響が出ています。
何が起きているのか(2026年1月27日時点)
報道によると、セルビアのトラック運転手が、EUの新たなデジタルEntry/Exit System(入出国システム)に反発し、セルビアとクロアチアを結ぶ重要な国境検問所で道路を封鎖しました。抗議は7日間の予定で、クロアチアと国境を接するボスニア・ヘルツェゴビナ側の検問所でも、連帯の動きとして封鎖が行われています。
争点は「90日/180日」ルールの“運用”
運転手側が問題視しているのは、非EU市民の移動をデジタルで追跡するEUのEntry/Exit Systemが、「180日間のうち最大90日まで滞在可」という規定を、厳格に適用しやすくする点です。
抗議する運転手らは、この枠組みが観光客や短期滞在者向けに設計された発想であり、国境をまたぐ短距離の往復を頻繁に繰り返す越境貨物輸送の実態に合わないと訴えています。結果として、仕事としての運行が「ほぼ不可能になる」との強い反発につながっています。
なぜ物流で摩擦が起きやすいのか
越境トラック輸送は、1回の「長期滞在」ではなく、短い出入りを高頻度で繰り返すのが特徴です。そこに、入出国の記録がデジタル化され、滞在日数の算定が厳密になれば、次のような現場の負担が一気に表面化します。
- 短距離往復の積み重ねが日数カウントに反映され、運行計画が立てにくくなる
- 国境の待機や迂回が増えると、納期・コストに直撃する
- 運用が不透明だと、ドライバーや運送会社が法令順守リスクを過大に抱える
今回の抗議は、制度そのものというよりも、「誰の移動を想定して作られた仕組みなのか」という設計思想と、現場の運用のギャップが火種になっているように見えます。
抗議の拡大が示す「地域連動」の現実
抗議がセルビア国内にとどまらず、ボスニア・ヘルツェゴビナにも波及した点は象徴的です。バルカン地域では、国境を越えるサプライチェーンが生活と産業のリズムを作っており、ひとつの検問所の停滞が、周辺の道路・倉庫・小売の現場へと連鎖しやすいからです。
今後の注目点:解決は「制度」か「例外設計」か
今後の焦点は、EU側の入出国管理の厳格化という大きな流れを維持しつつ、越境貨物輸送という公共性の高い業務をどう位置づけるかです。具体的には、
- 職業ドライバーの移動実態を踏まえた運用上の調整が行われるか
- 国境での混乱を抑えるための手続きの明確化が進むか
- 封鎖が長引いた場合の物流の迂回・遅延がどこまで広がるか
観光・出張・移住と同じく、物流もまた「人の移動」に支えられています。デジタル化が進むほど、ルールの精度は上がりますが、そのぶん現場の摩擦も可視化されます。今回の国境封鎖は、その転換点を映す出来事と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








