独メルツ首相「欧州は米国のパートナー、従属ではない」NATOと関税も焦点に
2026年1月29日、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は連邦議会(下院)での政府声明で、欧州は米国と緊密な同盟関係にある一方、「従属する力ではない」と強調しました。NATOをめぐる米国側の批判が続くなか、同盟の信頼と役割分担、さらに通商面の摩擦が同時に浮上しています。
メルツ首相が示した「同盟の前提」
メルツ首相は、NATOの枠組みで築かれてきた信頼について「自由、平和、安全保障の最良の保証」だと位置づけつつ、こう釘を刺しました。
- 欧州は米国の「パートナーであり同盟国」で、従属関係ではない
- NATOにおける信頼は安全保障の基盤であり続ける
「同盟の重要性」と「対等性」を同時に押さえたメッセージで、同盟を強めるための前提条件を言語化した形です。
アフガニスタンでの犠牲に触れた理由
声明では、ドイツが米国と共に関与したアフガニスタンでの経験にも言及しました。メルツ首相によると、ドイツ兵59人が死亡し、100人超が負傷したといい、こうした貢献が「貶められることは許さない」と述べました。
数字を伴う回想は、抽象的な「負担」の議論を、具体的な人命の重みへ引き戻す効果を持ちます。同盟内での評価のされ方が揺らぐときほど、各国の国内世論にも直結する論点になります。
背景:トランプ大統領のNATO批判が再燃
今回の発言の背景には、米国のドナルド・トランプ大統領が、NATOにおける欧州の軍事的役割を繰り返し疑問視し、欧州同盟国が米国の防衛支出に過度に依存していると批判してきた経緯があります。
入力情報によれば、トランプ大統領は先週、スイス・ダボスでのFox Newsのインタビューで、欧州側の貢献について厳しい見方を示し、アフガニスタン派遣にも触れた発言が大きな反発を招いたとされています。メルツ首相の「従属ではない」という言い回しは、こうした空気の変化への応答として読むこともできます。
安全保障だけでなく、通商も同時進行で動く
メルツ首相は経済関係にも触れ、欧州連合(EU)が米国から示唆されていた新たな関税を回避した「最近の進展」を挙げました。安全保障の議論が目立つ局面でも、通商上の圧力や駆け引きが並走しやすい点は見逃せません。
さらに先週の動きとして、欧州議会が報復措置としてEU・米国の貿易協定の停止に投票したことを受け、トランプ大統領がグリーンランド関連として示唆していた関税のうち、欧州8か国向けを一時停止した、とされています。
同盟の「軍事的負担」と「経済的負担」が絡み合うと、論点は一気に複雑になります。防衛をめぐる不満が関税のカードに姿を変えることもあれば、その逆も起こり得るためです。
いま問われているのは「同盟の温度差」の扱い方
今回のやり取りが示すのは、同盟の解消ではなく、同盟の中での「前提のすり合わせ」です。焦点は大きく3つに整理できます。
- 役割分担:誰が、何を、どこまで担うのか(装備・予算・部隊運用)
- 評価の言葉:過去の貢献をどう扱うかが、現在の協力を左右する
- 交渉の連動:安全保障と通商が、別のテーブルで同時に動きうる
メルツ首相の発言は、米欧関係を「距離を置く」方向ではなく、「対等性を明確にしたうえで協力する」方向へ引き戻そうとする試みとして位置づけられます。今後、NATO内の議論とEU・米国の通商協議がどのように連動していくのか、発言の余波はしばらく続きそうです。
Reference(s):
German Chancellor Merz: Europe is partner to U.S., not subordinate
cgtn.com








