米・イラン緊張が急上昇:2026年1月の動きと2月1日開始のホルムズ演習
2026年1月、米国とイランの緊張は軍事衝突寸前まで高まりました。発端となったのは、2025年12月末からイラン各地で続く抗議活動で、米国は「最大限の圧力」を強め、イランは抑止と外交の両面で応じています。きょう(2026年2月1日)からは、イランがホルムズ海峡での実弾演習(2月1〜2日)を予定しており、緊張と対話の綱引きが続きます。
背景:抗議活動が国際対立の焦点に
抗議活動は2025年12月28日以降、物価上昇と通貨下落をきっかけにイランの複数都市で発生し、死傷者や物的損害を伴いました。この国内の混乱が、核問題や地域をめぐる対立と結びつけられ、米・イラン関係の緊張を押し上げる構図になっています。
2026年1月のタイムライン(要点)
1月2日:抗議対応をめぐる強い言葉
- 米国:ドナルド・トランプ大統領が、イランの抗議対応を注視していると警告し、暴力的鎮圧があれば米国は「locked and loaded and ready to go」だと発言。
- イラン:最高国家安全保障会議のアリ・ラリジャニ書記がXで、発言は内政干渉に当たるとし、米国とイスラエルが不安をあおっていると主張。
1月9〜10日:軍事オプション報道と「国家安全保障の脅威」認定
- 米国:トランプ氏が対イラン軍事攻撃の選択肢を検討したと報道。SNSで「抗議者を助ける用意がある」とも発信。
- イラン:最高国家安全保障会議が、抗議は米国とイスラエルの関与で国家安全保障の脅威になったと表明。軍は重要インフラ防衛と「敵の策謀」への結束を呼びかけ。
1月12日:退避勧告と“取引国への関税”
- 米国:国務省が米国人にイラン退避を勧告。軍事対応も含む強硬策が議論されていると報道。さらに、イランと商取引を維持する国々に対し25%関税を発表し「最終かつ即時の決定」と説明。
- イラン:セイエド・アッバス・アラグチ外相が「相互尊重」に基づく公正な交渉なら用意があるとし、戦争は望まないが備えはあると強調。
1月13〜16日:サイバーから軍事まで/緊張管理の兆し
- 米国(1月13日):サイバー作戦、制裁拡大、軍事オプションなど複数案を検討と報道。トランプ氏はイラン当局者との会合をすべて中止し、「help is on the way」と投稿。
- イラン(1月13日):国土への侵害があればより強い対応をすると国防相が警告。
- 米国(1月14日):中東主要基地から一部人員を撤収。MQ-4Cドローンが国境沿いを哨戒し、カタールから運用するC-130Jが支援。
- イラン(1月14日):カタール、トルコ、イラクなど周辺国への外交働きかけを強化し、米国が緊張をあおっていると非難。
- 米国(1月15日):イラン治安当局高官を含む個人・団体を制裁。空母追加配備やミサイル防衛戦力を中東へ。ホワイトハウスは「すべての選択肢が残る」と表明。
- イラン(1月15日):一時的に空域を閉鎖(約5時間後に再開)。アラグチ外相が国連事務総長に書簡で米国の脅威を非難し、国連安保理の緊急会合を求めた。
- 米国(1月16日):トランプ氏は自らの判断で軍事攻撃を見送ったと発言。
- イラン(1月16日):治安当局が、これまでに約3,000人(テロ組織メンバーや暴動参加者)が拘束されたと発表。
1月21〜25日:抑止の言葉と空母展開
- 米国(1月21日):抗議者の処刑継続や核活動再開があれば、2025年6月より厳しい結果になると警告。
- イラン(1月21日):新たな攻撃には断固対応するとしつつ、「相互尊重」に基づく公正な合意への用意を再表明。
- 米国(1月25日):空母打撃群「USSエイブラハム・リンカーン」が中東に到着し、中部軍の下で作戦開始。
- イラン(1月25日):議会の国家安全保障・外交政策委員会メンバーが、相手側の配備に対応して軍が完全警戒に入ったと発言。
1月27〜31日:演習の応酬と、月末の対話シグナル
- 米国(1月27日):第2の海軍戦力をイラン方面へ向かわせると発表。合意できなければ「より壊滅的な攻撃」につながると警告。空軍の大規模演習も開始。
- イラン(1月27日):ホルムズ海峡近海で3日間の実弾演習を開始。
- 米国(1月28日):リンカーン空母を中心とする艦隊が任務を迅速に遂行できるとし、核合意交渉の時間は「尽きかけている」と警告。ピート・ヘグセス国防長官は大統領判断の実行準備を示唆。
- イラン(1月28日):最高指導者の高級顧問アリ・シャムハニ氏が、米軍行動には米国と同盟国への即時かつ包括的な報復で応じると警告。
- 米国(1月30日):内相を含む7個人と2団体を追加制裁。IRGC(イスラム革命防衛隊)関連の暗号資産取引所を初めて標的にしたとされる。米駆逐艦がイスラエルのエイラト港に寄港。トランプ氏は合意の期限を通告済みとしつつ具体日は明かさず。
- イラン(1月30日):マスード・ペゼシュキアン大統領が、戦争は望まないが侵略には決定的に対応すると説明。アラグチ外相は強圧的な条件を拒否し、前提条件なしの協議を主張。
- 米国(1月31日):トランプ氏が、イランが「真剣に」協議していると述べ、相互に受け入れ可能な合意に期待を示す一方、外交が失敗すればより大規模な艦隊が向かっていると警告。
- イラン(1月31日):アミール・ハタミ陸軍司令官が、防衛・戦闘態勢が完全に整ったと表明。ラリジャニ最高国家安全保障会議書記は、米国との協議準備が進み、交渉枠組み作りが前進していると述べた。
争点は何か:核・ミサイル・地域をめぐる「同時進行」
月末にかけて協議の気配が出た一方、根本の隔たりは残っています。提示されている主要論点は、核開発問題に加え、弾道ミサイル、そして地域での影響力です。米国は制裁と部隊展開、同盟調整で圧力を強め、イランは演習、外交働きかけ、国内の引き締めで応じる――という対称的な手段が並走しました。
きょうからの焦点:ホルムズ海峡での実弾演習(2月1〜2日)
イランは、IRGC海軍がホルムズ海峡で2月1〜2日に実弾演習を実施すると発表しています。ホルムズ海峡は「重要な要衝」とされ、軍事的な動きが続くほど、偶発的な衝突リスクと、外交の余地の両方が同時に試されます。
1月末に双方から対話のシグナルが出た直後だからこそ、演習の規模やメッセージの出し方が、緊張をさらに押し上げるのか、抑止の範囲に収まるのかを占う材料になりそうです。
まとめ:2026年1月の米・イラン関係は、制裁と展開、演習と警告が積み重なり、瀬戸際に近づきました。同時に、月末には協議準備の言及もあり、エスカレーションと外交がせめぎ合う局面が続いています。
Reference(s):
cgtn.com








