ドバイで世界的科学者が集結「World Laureates Summit」政策は科学で変わる?
2026年2月1日、ドバイで「World Laureates Summit(世界ローレーツ・サミット)」が開幕しました。ノーベル賞級の研究者と政策担当者が同じテーブルにつき、「科学的合意をどう世界のルール作りに接続するか」を正面から議論する点が、いま注目されています。
World Laureates Summitとは:科学とガバナンスを“直結”させる場
主催はWorld Laureates Association(WLA)。3日間の会期で、世界の著名な科学者、政策立案者、機関リーダーら150人超が参加するとされています。2026 World Governments Summitと併催され、基礎科学の知見を国際政策の設計に反映させる「直接の回路」を作ることが狙いです。
テーマは「基礎科学」:合意形成を政策の土台に
今回の中心テーマは、"Basic Sciences: Scientific Consensus for Addressing the Challenges of Humanity"(基礎科学:人類の課題に対処するための科学的コンセンサス)。ノーベル賞受賞者に加え、チューリング賞、ウルフ賞、フィールズ賞の受賞者も参加し、政策を「データと検証」に根ざしたものへ近づけることが掲げられています。
「研究を行動へ」:AI担当相とWLA議長が強調したこと
開会にあたり、UAEのAI担当国務大臣オマル・スルタン・アル・オラマ氏は、科学を人類の未来を切り開く主要な推進力と位置づけ、科学的洞察を政策行動へ翻訳する意義を強調しました。
また、WLA議長でノーベル化学賞受賞者でもあるロジャー・D・コーンバーグ教授は、今回の対話を「警鐘(wake-up call)」と表現。強固な科学的基盤なしに政策は前進しにくく、同時に科学も政治的な後押しなしに十分に発展しにくい、という相互依存の構図を語りました。
成果物の柱:白書「Vision 2050 for a Scientific Civilization」
サミットの重要なアウトカムとして、WLAによる白書「"Vision 2050 for a Scientific Civilization"(科学文明に向けたビジョン2050)」が公表されます。AI、エネルギー、医療・健康といった変化のスピードが速い領域で、政策と社会の進歩を継続的に科学的根拠で点検・検証していく長期フレームを描く文書だとされています。
3日間の議題:AIから脳科学、ブロックチェーンまで
議論は「単一分野の会議」に寄せず、複数領域を横断する設計です。
- 1日目:開会式、Mobius Forum。AI、変革的技術、新エネルギー、科学的発見など
- 2日目:9つの専門フォーラムへ拡張。脳科学、ゲノミクス、生命科学、物理、ブロックチェーン×科学など
- 3日目:Young Scientists Forumに加え、World Governments Summitとの合同セッションで、科学者と各国のリーダー層の対話を促進
なぜ「いま」科学と政策の距離が問われるのか
AIの急速な社会実装、新エネルギー移行、感染症や慢性疾患をめぐる医療技術の更新など、意思決定のタイムラインが短くなる一方で、科学的検証には時間がかかります。今回のサミットは、その“速度差”をどう埋めるかを、研究者と政策担当者が同じ場で扱う点に特徴があります。
科学を「正しさの権威」としてではなく、合意形成と検証のプロセスとして政策に組み込み直せるのか。ドバイで始まった議論は、国際ニュースとしてもしばらく注視されそうです。
Reference(s):
World Laureates Summit: Can science give a blueprint for our future?
cgtn.com








