仏パリ検察、Xオフィスを捜索 マスク氏を2026年4月に任意聴取へ
フランスでSNS「X」をめぐる捜査が新局面に入りました。パリ検察は2026年2月3日、Xのオフィスを捜索し、イーロン・マスク氏に4月の任意聴取(事情聴取)を求めたと明らかにしました。
何が起きたのか(2026年2月3日)
パリ検察のサイバー犯罪部門によると、フランス警察がXのオフィスを捜索しました。捜査には、EUの警察機関ユーロポール(Europol)も関与しているとされています。
今回の動きは、すでに進んでいた捜査(約1年にわたる捜査)の一環でありつつ、AIチャットボット「Grok」への苦情を受けて、捜査対象が広がった点が焦点です。
もともとの捜査の焦点:アルゴリズムと政治介入の疑い
この捜査は、2025年1月に出された2件の申し立てを受けて開始されたとされています。うち1件は、エマニュエル・マクロン大統領の中道政党に属する国会議員エリック・ボトレル氏によるものです。
検察側は当時、Xのアルゴリズムが偏りを持ち得ることで、自動データ処理システムの運用が歪められた可能性がある、という趣旨の問題意識を示していました。捜査では、フランス政治への干渉につながり得るアルゴリズム運用の不正や、Xまたは経営側による不正なデータ抽出の疑いが視野に入っているとされます。
捜査が広がった理由:Grokをめぐる追加の指摘
パリ検察は今回、捜査を拡大した理由として、Grokの機能や拡散のあり方について、追加の報告・指摘が出たことを挙げました。
- ホロコースト否認の拡散に関する指摘
- 性的なディープフェイク(生成AIなどで作られた偽画像・偽動画)に関する指摘
捜査はさらに、児童性的虐待にあたる画像の所持・拡散への加担の疑いや、性的なディープフェイクによる肖像権侵害など、複数の論点を含む形になったと説明されています。
今後の予定:マスク氏と前CEOに「2026年4月20日」の任意聴取
検察は、Xオーナーのイーロン・マスク氏と、前CEOのリンダ・ヤッカリーノ氏に対し、2026年4月20日(パリ)に任意聴取の呼び出しを送付したとしています。両氏は、当時のX運営における事実上(de facto)・法律上(de jure)の責任者という位置づけで呼ばれたとされます。
ヤッカリーノ氏は、XのCEOを約2年間務めた後、昨年7月(2025年7月)に辞任したとされています。
X側の反応と、検察のスタンス
2025年1月時点では、Xのフランス責任者ローラン・ブアネック氏が、Xにはヘイトスピーチや偽情報への対策として「厳格で明確、かつ公的なルールがある」として、捜査の前提に反論していました。
また、マスク氏は2025年7月、当初の疑惑について否定し、「政治的動機による刑事捜査」だと述べたとされています。一方で今回の捜索後、Xから直ちのコメントは伝えられていません。
検察は「フランス国内で事業を行う限り、Xがフランス法を遵守することを最終的に確保するための建設的なアプローチの一環だ」と説明しました。捜査は検察のサイバー犯罪部門が、フランス警察のサイバー犯罪部門およびユーロポールとともに進めるとしています。
さらに検察は、自身の情報発信について、今後はXではなくLinkedInとInstagramで行う方針も明らかにしました。
読み解きポイント:SNSの「設計」と「責任」はどこまで問われるのか
今回の捜査の特徴は、投稿そのものだけでなく、拡散の設計(アルゴリズム)や、AI機能(Grok)の振る舞いが「社会的な被害」や「権利侵害」とどう結びつき得るか、という点に踏み込んでいるところです。
4月の任意聴取に向け、捜査当局がどのような事実関係を示すのか、そしてX側がどのような説明を行うのかが、次の焦点になりそうです。
Reference(s):
Paris prosecutor cybercrime unit searches X office and summons Musk
cgtn.com







