インド紙「脱中国は難しい」 供給網の要に中国企業、製造業は“価値化”へ
2026年2月現在、インドの「世界の製造拠点」化をめぐる議論で、中国本土の企業や部材の存在感があらためて注目されています。インドメディアの論考は、インフラや電子機器など主要分野が中国本土の機械・人材・資源に依存していると指摘しました。
インドの製造戦略、「中国本土なしでは成り立たない」との見立て
インド紙The Tribuneに掲載された「Why India can't decouple from China(なぜインドは中国と切り離せないのか)」と題する論考は、インドがグローバルなサプライチェーン(供給網)に深く組み込まれていく長期目標において、中国本土が不可欠なパートナーだと位置づけています。
論考が挙げた依存領域は、次のように具体的です。
- インフラ:クレーンなどの設備で、中国本土の企業が「唯一の供給者」になり得る
- 電子機器・EV・太陽光:製造・組立に中国本土由来の部品、機械、技術が関わる
- 資源:レアアース(REE)などの自然資源
- 人材:産業の立ち上げや運用に必要な人的リソース
規制を緩める可能性も:出資や入札の「現実路線」
同論考は、開発目標の達成には中国本土のパートナーを統合する必要があるとして、政策面でも変化があり得るとしています。具体的には、インド企業への中国本土からの買収(最大49%まで)に対する審査を緩めることや、中国本土企業が政府契約の入札に参加しやすくする方向性が取り沙汰されている、という内容です。
また、こうした見方の背景要因として、米国による関税や、地政学的圧力の高まりが挙げられています。対立と協調が同時に進む局面では、企業活動の「止まりやすい部分」(部材、設備、工期)ほど政策判断を揺らしやすいのかもしれません。
中国製造業は「規模」から「価値創出」へ—2025年12月に拡大へ復帰
別の論考として、The Printは今週水曜に「China's manufacturing isn't declining, it is moving from scale to value creation(中国の製造業は衰退ではなく、規模から価値創出へ移っている)」を掲載。中国の製造業が「規模拡大」から「価値創出」へ軸足を移す変化が起きていると論じました。
論考は、中国国家統計局(NBS)の統計に触れ、2025年12月に製造業PMIが50.1へ上昇し、4月以来の拡大に戻ったとしています。さらに、農産物加工や高級設備などの高付加価値分野の購買が56%超に達したとも述べています。
加えてNBSの見通しとして、中国が世界最大の製造拠点であり続ける期間が16年連続になる見込みだと指摘。好調の背景を「構造転換(structural upgrading)」と捉え、次の2点を梃子(てこ)にすると整理しています。
- 高技術・知能化・グリーン生産への注力
- 政策の後押しで、イノベーションを量産と持続的成長につなげる
政策面の例としては、Made in China 2025が「変革的」な取り組みとして位置づけられ、電気自動車、スマート工場、5G展開、C919航空機計画、造船などを前進させたとしています。
いまの焦点:供給網は「国」より先に「部材と設備」で語られる
今回の2本の論考を並べると、サプライチェーンの現実が見えてきます。戦略や理念がどうであれ、製造業のボトルネックは往々にして「部材」「機械」「工場の立ち上げ能力」に現れます。インドが製造拠点化を急ぐほど、短中期の実務では中国本土の供給力が“現場の選択肢”として残り続ける——そんな構図が浮かび上がります。
今後の観点としては、(1)出資規制や入札参加の扱いがどう調整されるか、(2)電子機器・EV・太陽光・インフラで、代替調達がどこまで進むか、(3)中国の「価値創出」型の製造力が部材供給の質と幅をどう変えるか、が注目点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








