南ア、口蹄疫ワクチンを約20年ぶりに国内生産 初回1.29万回分
南アフリカで口蹄疫(こうていえき)の「国内生産ワクチン」が約20年ぶりに投入されました。近年で最悪級とされる流行への対応を急ぐなか、輸入依存を減らし、国内の供給力を立て直す動きとして注目されています。
何が発表されたのか:初回は1万2,900回分、3月に週2万回へ
南アフリカのジョン・スティーンハイゼン農相は、同国の農業研究機関である農業研究評議会(Agricultural Research Council)とともに、口蹄疫ワクチンの初回ロットとして1万2,900回分の放出を発表しました。生産は拡大し、2026年3月までに週2万回分へ増やす計画だとしています。
狙いは「ワクチン主権」:輸入依存からの転換
南アフリカはこれまで、口蹄疫ワクチンの多くをボツワナ、アルゼンチン、トルコなどから輸入してきました。背景には、国営の製造設備が十分な資金を得られず、生産能力が限られてきた事情があるとされています。
農相は会見で、十分な規模で生産しフル稼働に到達できれば、このワクチンが口蹄疫対策における「ワクチン主権(必要量を自国で確保できる状態)」につながる、という趣旨の見解を示しました。
接種目標:国内の牛約1,200万頭の「8割」
政府の計画では、国内の家畜群(約1,200万頭の牛。うち商業農場が720万頭)の80%をワクチン接種の対象に据えています。感染拡大を抑えるには、供給量だけでなく、現場での流通・保管・接種体制も同時に問われます。
農家側の不満も:対応が「遅い・分断的」との批判
一方で政府は、流行への対応をめぐり畜産農家から強い批判を受けています。農家団体のSouthern African Agri InitiativeとFree State Agricultureは、政府対応を「分断的で遅く、流行の規模とスピードに構造的に追いつけていない」と表現し、法的措置も辞さない構えを示しています。現場では、移動制限や取引停滞などが損失につながっているとの声があります。
口蹄疫とは:致死率は高くないが、生産性を大きく落とす
口蹄疫は、主に牛などに感染する感染力の強いウイルス性疾患です。口の中や蹄(ひづめ)に痛みを伴う水疱ができ、成牛では致死的になりにくい一方、採食量の低下や歩行困難などから生産性が大幅に下がることが問題になります。
「作れる」だけでなく「届け切れる」かが次の焦点
今回の国内生産は、供給のボトルネックを減らす一歩になり得ます。ただ、目標とする接種規模に対しては、今後の生産拡大の確実性、接種の優先順位づけ、農場への配分の透明性など、運用面の設計がより重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








