AU委員、2027年の汎アフリカ海軍演習を提案 ナイジェリアに開催協力要請
アフリカ連合(AU)の政治・平和・安全保障担当コミッショナー、バンコレ・アデオイェ大使が2027年の「汎アフリカ海軍演習」を提案しました。海賊対策や国境を越える犯罪への対応が課題となる中、各国海軍の連携を一段と深める狙いがあります。
何が起きたのか:2月5日の訪問で「大陸規模の演習」を提案
アデオイェ大使は2026年2月5日、ナイジェリアの首都アブジャにある海軍本部を表敬訪問し、アフリカ各国海軍の協力強化に向けた大陸規模の演習構想を示しました。あわせて、ナイジェリアに対し開催面での支援を要請したとされています。
演習にはアフリカ域内の海軍だけでなく、世界各地の「パートナー海軍」の参加も想定されています。国際協力の枠組みを組み合わせることで、訓練の実効性と相互運用性(共同で動くための手順・通信などの整合)を高めたい考えです。
背景:ナイジェリア海軍への評価と「海賊対策」の実績
今回の提案の舞台となったナイジェリア海軍について、アデオイェ大使は海上保安・治安面での成果を評価しました。具体的には、海賊行為の抑止や、ギニア湾での他国海軍との連携などが挙げられています。
- ナイジェリアは2022年に国際海事局(IMB)の海賊リストから外れたとされます
- 最近のGlobal Firepowerの報告では、ナイジェリアの艦隊がアフリカで最強と位置づけられたとされています
こうした評価が、ナイジェリアに「大陸規模の演習」の後押し役を期待する文脈につながっています。
もう一つの提案:ECOWAS Zone Eの地域演習を“モデル”に
アデオイェ大使は、より現実的な足場として、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)のZone Eに属する海軍による地域演習も提案しました。地域での共同訓練を積み重ね、汎アフリカ規模の海洋安全保障協力へ段階的に広げる発想です。
狙いとして示されたのは、主に次のような論点です。
- 海上での情報共有・連絡体制の強化
- 越境犯罪(密輸、違法取引など)への協調対応
- 各国の能力差を踏まえた訓練設計と役割分担
海の安全と経済:AfCFTAの動きとも接続
表敬の場では、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)にも言及がありました。AfCFTAは55の経済を結びつける構想とされ、貿易や物流が広がるほど、海上輸送路の安全確保は一層重要になります。
海賊や犯罪のリスクを下げることは、海上保険、航路設定、港湾オペレーションなどにも影響し、結果として経済活動の見通しを左右します。今回の演習提案は、治安の取り組みを「経済の基盤づくり」へつなげようとする動きとしても読めます。
ナイジェリア海軍トップの反応:地域演習案は「検討する」
ナイジェリア海軍のイディ・アバス海軍中将(海軍参謀長)は、安全な海域の維持に引き続き取り組む姿勢を示し、地域演習の提案については検討すると応じました。
これからの焦点:2027年に向けた調整は何が鍵になるか
汎アフリカ演習が実現するかどうかは、今後の制度設計と合意形成にかかっています。現時点で見えている論点を整理すると、次の通りです。
- 開催国の役割:受け入れ体制、訓練海域、港湾・補給などの準備
- 参加国間の運用ルール:通信・指揮系統、共同手順、想定シナリオのすり合わせ
- パートナー海軍との協力範囲:支援の形(訓練参加、助言、技術協力など)
アフリカの海洋安全保障は、地域の現場課題(犯罪・海賊・物流)と大陸規模の制度づくりが同時に進む領域でもあります。2026年2月の今回の提案は、2027年へ向けた「次の一手」を具体化する出発点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








