米議会が未編集エプスタイン文件を精査 「不可解な黒塗り」指摘相次ぐ
米司法省が今年1月に公開した「エプスタイン関連文書」をめぐり、実際の未編集版を米議員が閲覧したところ、法律の趣旨に反するように見える黒塗り(redaction)が多数あるとして、与野党から説明を求める声が強まっています。
「エプスタイン文件透明化法」とは何を求めたのか
米議会は昨年11月、エプスタイン関連文書の公開を司法省に求める「エプスタイン文件透明化法(EFTA)」を圧倒的多数で可決しました。司法省が保有するエプスタイン関連の全記録を対象とし、原則として公開を進める内容です。
同法が認めた黒塗りは、主に次の一点に絞られています。
- 被害者の氏名など個人を特定しうる情報(FBIによれば被害者は1,000人超)
一方で、同法は「恥」や「評判の毀損」「政治的配慮(政府高官、公人、外国要人を含む)」を理由に、記録を非開示・遅延・黒塗りしてはならないとも定めています。
議員が未編集版を閲覧:「なぜ消したのか分からない名前が多い」
現地時間2月9日(月)、民主・共和両党の複数議員が、司法省の安全管理下の施設で未編集のエプスタイン文件を閲覧しました。
民主党のジェイミー・ラスキン下院議員(メリーランド州)は記者団に対し、公開版では黒塗りされていた名前について、「不可解、あるいは説明不能な理由で消されていた名前をたくさん見た」と述べました。さらに、エプスタインに協力したり手助けしたりした可能性のある人物の名前が、「理由が見当たらないのに空白になっている」とも指摘しています。
「黒塗りされた6人の男」——共和党議員は“重大性”を示唆
共和党のトーマス・マッシー下院議員(ケンタッキー州)は、公開文書で伏せられていた6人の男性の氏名を未編集版で確認したとし、これらの人物は「文件に含まれていること自体が、罪に問われうる内容を示している可能性が高い」と述べました。
民主党のロー・カンナ下院議員(カリフォルニア州)も、「なぜ彼らが黒塗りされたのか説明がない」と語っています。
両議員は本人名の公表は避けたものの、マッシー氏は6人のうち1人が「外国政府のかなり高い地位にある」と述べ、カンナ氏は別の1人について「かなり著名な人物」だと説明しました。
黒塗りは司法省以前? FBIや検察段階の可能性も
マッシー氏とカンナ氏は、公開版の黒塗りの多くが、文書が司法省に渡る以前に施されていた可能性にも言及しました。黒塗りは、より早い段階でFBIや検察当局によって入れられたのではないか、という見立てです。
カンナ氏は、法律の要点として「機密指定などでない限り、未編集が求められた」と述べています。
別の火種:ラトニック米商務長官が「2012年に島で昼食」認める
この問題が注目を集める中、現地時間2月10日(火)には、ハワード・ラトニック米商務長官が、上院歳出関連の小委員会の公聴会で、2012年に家族とともにエプスタインの私有島で昼食をとったことを認めました。
ラトニック氏は、家族旅行中に船で移動していたとした上で、島で1時間ほど昼食をとったと説明し、「関係はなかった。ほとんど関わりがない」と証言しました。
一方で、ラトニック氏は以前、2005年にエプスタインと接触を断ったと述べていましたが、今年1月に公開された最新の文件では、その後も連絡が続いていたことが示されたとされています。さらに、地元メディアは2014年ごろまで取引関係があったとも報じています。ラトニック氏には、民主党だけでなく一部共和党からも辞任圧力が出ています。
フランスでも波紋:外交官名が複数回登場、司法判断へ
フランスのジャン=ノエル・バロ外相は、約25年の経歴を持つ外交官ファブリス・アイダン氏の名前が文件中に複数回出てくることを確認しました。アイダン氏は現在、民間部門に出向中とされています。
バロ外相は、フランス刑事訴訟法典第40条に基づき、検察当局に付託して評価を求めるとともに、内部の行政調査も開始したとしています。仏メディアは、連絡先情報やメールのやり取りが含まれる可能性を報じました。
当局は、文件に名前があること自体は不正の証明ではないという点も強調しており、現時点で正式な起訴は発表されていません。
いま起きていることを整理:透明性と被害者保護の“境界線”
今回の焦点は、被害者の特定につながる情報を守りながらも、権力や肩書によって情報が不自然に隠されていないか、という点にあります。法律は「被害者保護」と「恥や政治的配慮による秘匿の禁止」を同時に掲げました。未編集版を閲覧した議員の発言は、公開版の黒塗りがその線引きと整合しているのか、説明責任を改めて突きつける形です。
今後は、黒塗りの根拠の提示(機密か、被害者保護か)、黒塗りが施された時点(司法省以前か)、そして関係者の説明が、次のニュースの軸になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








