欧州、防衛の「主体性」強化を再要請 米国との溝が鮮明に video poster
2月に開かれたミュンヘン安全保障会議で欧州の指導者たちは、防衛・安全保障をめぐる大陸としての「主体性(agency)」を強める必要性を改めて訴えました。ウクライナ、移民、負担分担をめぐる厳しい応酬が、ワシントンとの関係の緊張を浮き彫りにしています。
ミュンヘン安全保障会議で「欧州の主体性」が再び焦点に
会議では、欧州が防衛・安全保障でどこまで自ら判断し、行動できる体制を持つべきかが繰り返し議題に上りました。背景には、ウクライナ情勢、移民政策、そして大西洋を挟んだ負担分担(誰がどれだけ責任とコストを担うのか)をめぐり、欧州と米国の間で摩擦が表面化していることがあります。
ドイツのメルツ首相「ルールに基づく秩序は、もはや存在しない」
会議の冒頭で、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ルールに基づく世界秩序は「もはや存在しない」と警告しました。さらに「私たちの自由は保障されていない」と述べ、大国政治の時代だと位置づけたうえで、欧州は「犠牲」を払う覚悟が必要だと訴えました。
メルツ首相はまた、欧州と米国の間に「深い分断が開いた」とも認めています。会議でのやり取りが示したのは、同盟関係がただちに崩れるという話ではなく、優先順位や責任の置き方をめぐる認識のズレが、以前より目に見える形になってきたという現実でした。
「主体性」とは何か——同盟の中で“自分で決められる力”
今回、欧州側が繰り返した「agency(主体性)」は、米国との協力を前提にしつつも、欧州が安全保障の方向性を自ら定め、必要なときに自ら実行できる状態を指す言葉として使われています。
会議で議論が鋭くなった論点は、要するに次の3つでした。
- ウクライナ:支援や関与のあり方をどう位置づけるのか
- 移民:安全保障・社会統合の課題としてどう扱うのか
- 負担分担:欧州と米国がどの責任をどこまで担うのか
静かに変わる前提——「保証される安全」から「作りにいく安全」へ
メルツ首相の「自由は保障されない」という言葉は、欧州の安全保障観が、従来の延長線だけでは語り切れない局面に入ったことを示唆します。大国政治の時代という認識が共有されるほど、同盟の価値は維持しながらも、各地域が自らの選択とコストを引き受ける圧力は強まりやすくなります。
ミュンヘンでの議論は、欧州が“より大きな役割”を求められているのか、それとも欧州自身が“より大きな裁量”を取りにいくのか——その両方が同時進行していることを映しました。
(2026年2月時点)
Reference(s):
Europe urges greater defense role as transatlantic rifts show
cgtn.com








