イスラエルが西岸の土地登録再開へ パレスチナ側は「事実上の併合」と反発
イスラエルがヨルダン川西岸で「土地登録(権利確定)」の手続きを再開する方針を承認し、パレスチナ側が国際法違反だとして強く反発しています。土地の法的整理に見える政策が、入植地拡大や将来の交渉の前提を変えうるため、2026年2月の中東情勢で注目点の一つになっています。
何が決まったのか:西岸の土地を「国有地」として登録へ
報道によると、イスラエルは2月15日(現地時間の日曜日)、内閣としてヨルダン川西岸の土地を「国有地(state property)」として登録する計画を承認しました。計画は、ベツァレル・スモトリッチ財務相、ヤリブ・レビン司法相、イスラエル・カッツ国防相が提出し、閣議決定されたとされています。
実務は司法省の政府機関である「Land Registry and Settlement of Rights(不動産登記と権利確定を担う当局)」が担い、専任の人員と予算を付けて進めると説明されています。
「初めて」とされるポイント
イスラエル側の説明では、1967年の中東戦争以降、ヨルダン川西岸で体系的な土地登録を内閣が正式に認めるのは初めてだとされています。
パレスチナ側の反応:「危険なエスカレーション」「国際法違反」
パレスチナ大統領府は同日、イスラエルの決定について、国際法に反し「治安と安定への脅威」になるとする声明を出しました。声明は、この動きを「危険なエスカレーション」であり、違法な入植地拡大を通じて占領を固定化する「事実上の併合」だと位置づけています。
さらに、国連安全保障理事会決議2334(占領下パレスチナ領土、東エルサレムを含む地域の入植地は違法とする趣旨)などに反すると主張し、国際社会に対し介入して動きを止め、国際法の履行を求めました。
声明では、こうした措置によって「パレスチナ国家の土地に対する占領の正当性が付与されることはなく、ヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザの法的・歴史的地位も変わらない」とも述べています。
ハマスも「無効」と反発、権利保護を訴え
一方、ハマスも今回の決定を「無効」であり、力によって「ユダヤ化した入植の現実」を押し付ける試みだと非難しました。併合、住民の追い出し、入植関連の計画に対抗するとしたうえで、国際社会に対し、土地への権利、自己決定、国家樹立の権利の保護を求めています。
イスラエル側の狙いは「所有権の透明化」—ただし政治的意味合いも
イスラエル側の閣僚は、土地登録の再開によって所有権を「透明かつ徹底的に明確化」できると説明しています。ヨルダン川西岸では、体系的な登録が行われていない地域が多く、所有権の根拠がオスマン帝国期、英国委任統治期、ヨルダン統治期などの記録に依存している、という事情も挙げられました。
ただ、パレスチナ側は、特に「エリアC」でイスラエルの国有地認定が形式化されれば、入植地拡大を後押しし、交渉による二国家解決の見通しをさらに損ねかねないと警戒しています。ヨルダン川西岸は国際社会の多くから占領地と見なされており、パレスチナ側は将来の独立国家の中核と位置づけてきました。
いま起きていることを整理:焦点は「手続き」ではなく「前提」
- 表向き:土地の権利関係を整理し、記録を統一する行政手続き
- パレスチナ側の見立て:国有地登録を通じて実効支配を強め、併合に近い状態を固める動き
- 政治的な争点:登録の範囲・基準・異議申し立ての扱いが、将来の境界や交渉の「出発点」を変えうる
土地の「登記」という一見テクニカルな政策が、住民の生活、治安、そして和平プロセスの条件を左右しうる——。今回の決定は、そうした中東政治の難しさを改めて映す出来事と言えそうです。
Reference(s):
Palestine denounces Israel's West Bank land registration decision
cgtn.com








