トランプ氏「ディエゴガルシアを手放すな」英のチャゴス合意に再び異議
インド洋の要衝ディエゴガルシア基地をめぐり、米国のドナルド・トランプ大統領が2026年2月18日、英国に対して「(基地を)手放すべきではない」と公に呼びかけました。英政府が進めるチャゴス諸島の主権移転とリースバック(貸し戻し)をめぐり、米政府内のメッセージの揺れも含めて、協定の政治的な温度が一段上がっています。
何が起きたのか:トランプ氏の投稿が焦点に
トランプ大統領は18日、SNS「Truth Social」への投稿で、英国のキア・スターマー首相に対し、ディエゴガルシアを含む取り決めについて強い懸念を示しました。
投稿では、長期リースについて「国に関わる話でリースはよくない」といった趣旨で述べ、約100年規模の貸与が英国の「重要な島」を手放すことにつながる、と主張しました。ディエゴガルシアが「インド洋で戦略的に位置している」点も強調しています。
背景:チャゴス諸島とディエゴガルシア基地
ディエゴガルシアは、インド洋のチャゴス諸島で最大の島で、英国と米国の軍が共同で利用してきた軍事拠点です。
提示されている枠組みは、2025年5月22日に署名された合意に基づくものとされ、英国がチャゴス諸島の主権をモーリシャスへ移す一方、ディエゴガルシアは99年間のリースで英米の軍事運用を継続できるようにする、という設計です。
米政府の公式見解との“ねじれ”も
今回の投稿が注目されるのは、直前の米政府の公式発信と並べたときの“ねじれ”が見えるためです。2月17日、米国務省は、英国がモーリシャスとの合意を進める判断を「支持する」とする声明を出しています。
一方で、ホワイトハウスのカロライン・レヴィット報道官は18日、BBCの質問に対し、トランプ氏の投稿は「トランプ政権の政策として受け止めるべきだ」と述べ、投稿が政権の立場を直接示すものだという認識を示しました。
英国側の説明:「基地の長期的な将来を保証する唯一の方法」
英国外務省は18日、この合意は「英国と主要な同盟国の安全保障、そして英国民の安全を守るうえで重要」だと説明しました。さらに「この重要な軍事基地の長期的な将来を保証する唯一の方法だ」とも述べています。
スターマー首相もこれまで、ディエゴガルシアの英米共同基地の継続運用を確保するために必要だ、という趣旨の説明をしてきました。
対イラン協議にも言及:基地の“使い道”が政治化
トランプ大統領は投稿で、米国とイランの核開発をめぐる協議に触れ、イランが合意に応じない場合にはディエゴガルシアを使用する必要が生じ得る、という趣旨の言及もしています。基地の戦略価値が、外交・安全保障の議論と結びついて語られた格好です。
英国政界の反応:野党は「屈辱」「欧州との関係強化を」
英国では野党側から批判も出ています。
- 最大野党のプリティ・パテル影の外相は、トランプ氏の発言はスターマー首相にとって「完全な屈辱」だとして、合意の撤回を求めました。
- 自由民主党のエド・デイビー党首は、トランプ氏の立場の変化を「終わりのない揺れ」と表現し、英国は欧州との関係をより強化すべきだ、という趣旨をXに投稿しました。
ここから何が焦点になるか:来週の米国・モーリシャス協議
報道では、米国とモーリシャスが来週協議を予定しているとされ、基地の将来をめぐる政治的な注目が改めて集まっています。すでに合意の枠組みが示されている一方で、米国側のメッセージが「公式声明」と「大統領発信」で異なるトーンを持つことは、関係国にとって解釈の難しさを残します。
ディエゴガルシアという地名が、単なる地理ではなく、同盟運用、法的枠組み、そして危機対応の想像力までを含む“言葉”として扱われ始めている――その空気感が、今回の一連の動きから立ち上がってきます。
Reference(s):
Making a U-turn again, Trump urges UK not to 'give away Diego Garcia'
cgtn.com








