NASA「アルテミスII」3月打ち上げを断念 SLSのヘリウム流量に技術問題
NASAは2026年2月22日(現地21日)、月への有人飛行再開の節目となる「アルテミスII」について、3月の打ち上げは見送ると明らかにしました。SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットでヘリウムの流れに関する問題が見つかったためです。
何が起きたのか:ヘリウム流量の問題で「3月は対象外」
NASAトップのジャレッド・アイザックマン氏はXへの投稿で、作業チームがSLSロケットのヘリウム流量に関する不具合を検知し、これにより「3月の打ち上げウィンドウは検討対象から外れる」と説明しました。
同氏は、失望の声が出ることに理解を示しつつ、「最も強くそれを感じているのは、準備に尽力してきたNASAのチームだ」と述べています。
現場の対応:機体を組立棟に戻して調査・修理へ
SLSロケットとオリオン宇宙船は、フロリダ州ケネディ宇宙センターのVehicle Assembly Building(機体組立棟)へロールバック(搬入し直し)され、原因究明と必要な修理が行われる予定です。NASAは「今後数日以内に、より詳しいブリーフィングを行う」としています。
「最短3月6日」から一転:打ち上げ日程は再調整へ
NASAはこれに先立ち、重要なリハーサル(打ち上げ前の一連の手順確認)を終えたことを受け、最短で3月6日を打ち上げ可能日として見込んでいました。しかし今回の技術問題により、その想定は見直しとなりました。
アルテミスIIとは:50年以上ぶりの「月への有人フライバイ」
アルテミスIIは、約10日間のミッションとして、月の周回(フライバイ)を行う計画です。搭乗するのは米国の宇宙飛行士3人とカナダの宇宙飛行士1人で、月近傍を有人で飛ぶミッションとしては「50年以上ぶり」と位置づけられています。
遅れの背景:アルテミス計画は繰り返し日程調整
今回の延期は、アルテミス計画が抱える「大規模開発ゆえの不確実性」を改めて浮き彫りにしました。
- アルテミスIIは、昨年(2025年)後半には「最速で2月」の期待もありましたが、その後、複数の遅れが重なりました。
- アルテミスI(無人)は当初2021年予定でしたが、延期を経て2022年11月に打ち上げられています。
- さらに直近の2026年2月上旬には、液体水素漏れを含む技術問題で、いわゆる「ウェットドレスリハーサル(燃料を入れて行う総合リハーサル)」が早期終了しています。
今後の焦点:安全優先で「次の窓」をどう組み直すか
NASA側は、1960年代のアポロ計画でも多くの挫折があったことに触れ、今回の延期を「安全と確実性を優先する判断」として説明しています。今後は、ヘリウム流量の問題の原因と再発防止策、修理の範囲によって、次の打ち上げ時期がどこまで後ろ倒しになるかが焦点となります。
Reference(s):
NASA chief rules out March launch of Artemis II over technical issues
cgtn.com








