NASAの月ロケット、ヘリウム不具合で再び格納庫へ アルテミスIIは4月以降に
NASAの有人月周回ミッション「アルテミスII」に向けた巨大ロケットが、ヘリウム系統の不具合を受けて今週、ケネディ宇宙センターの格納施設へ戻されることになりました。人類の「次の月への一歩」を支える準備が、また一段と慎重さを増しています。
何が起きたのか:燃料漏れ対策の直後に“別の問題”
NASAによると、2026年2月22日(現地時間)に、ロケットを格納施設へ戻すための移動を発表しました。天候が許せば、2月24日(火)にケネディ宇宙センター内を約6.4キロかけてゆっくり移動する計画です。
今回の判断の背景には、2月19日(木)に行われた燃料充填テストがあります。NASAは危険な水素燃料の漏れが塞がったことを確認するために再テストを終えたばかりでしたが、その直後にヘリウムシステムの不具合が見つかったといいます。
ヘリウム不具合が“効く”理由:上段エンジンの安全運用に関わる
NASAの説明では、問題が起きたのはロケットの上段(アッパーステージ)に送られるヘリウムの流れです。ヘリウムは、エンジン内部を安全に保つためのパージ(不活性ガスで置換して可燃性ガスを追い出す)や、燃料タンクの加圧などに必要とされています。
水素漏れを抑え、打ち上げ日を2026年3月6日に定めた矢先の不具合だったこともあり、スケジュールはさらに後ろ倒しになりました。
なぜ格納庫へ戻すのか:原因特定と修理のため
ロケットは、ケネディ宇宙センターのVehicle Assembly Building(組立棟)へ戻されます。NASAは声明で、原因の切り分けと修理のためにロールバック(発射台からの撤収)が必要だとしています。
NASAは、この「早めの撤収」が順調に進めば4月の打ち上げ挑戦を視野に入れられる一方、実際の時期は修理の進み具合次第だとしています。
打ち上げ“枠”が少ない:毎月数日しかチャンスがない
宇宙ミッションのスケジュールが難しいのは、ロケット側の準備だけが理由ではありません。NASAによると、4人の乗員を月の周回へ送り、地球へ帰還させるための打ち上げ機会は、毎月限られた数日しかないといいます。安全条件と軌道条件が重なる必要があるためです。
宇宙飛行士はヒューストンで待機中
アルテミスIIに割り当てられた乗員は、米国人3人とカナダ人1人。現在はヒューストンで待機を続けています。実現すれば、NASAのアポロ計画(1968〜1972年)以来、半世紀以上ぶりに月へ向かう有人飛行になります。
いま注目したいポイント(読みどころ)
- 水素漏れ対策の直後に、ヘリウム系統の新たな課題が浮上したこと
- 上段のヘリウムは、エンジン運用と燃料タンク加圧に関わる重要部分であること
- 修理が早く進めば4月を狙えるが、打ち上げ可能日はそもそも少ないこと
「直せば飛べる」だけでは済まないのが、有人飛行の厳しさです。今回のロールバックが、次の打ち上げをより確かなものにできるか。今週の動きが注目されます。
Reference(s):
NASA moon rocket heads back to hangar for repairs after helium issue
cgtn.com








