米最高裁でトランプ関税が無効に、州と企業が“関税還付”を求める動き
米国で昨年(2025年)に導入されたトランプ大統領の大規模な関税について、米連邦最高裁が無効と判断したことを受け、州政府や企業が「徴収済み関税の返金(還付)」を求める声を強めています。2026年2月下旬のいま、争点は“いくら、誰に、どのような手続きで返すのか”に移りつつあります。
何が起きたのか:最高裁判断で「関税の根拠」が崩れた
報道によると、米連邦最高裁はトランプ大統領が昨年課した広範な関税を退ける判断を示しました。これにより、すでに徴収された関税について、輸入者側が返金を求める法的な動きが加速しています。
州知事が相次ぎ「消費者への負担だった」と返金要求
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は2月25日までの今週、関税は州の消費者や中小企業、農家への負担増につながったとして、合計135億ドルの関税還付を政権に求めました。
ホークル氏は、関税を「無意味で違法な関税で、消費者への税負担に等しかった」という趣旨で批判し、「全額返金」を要求しています。
同様の要請は、先週までにイリノイ州のJ.B.プリツカー知事、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事からも出ています。
ニューヨーク州で示された試算(推計)
- 平均的な世帯の追加負担:1,751ドル
- 州全体の影響:135億ドル
- 試算元:Yale Budget Labの推計
企業側も「すでに払い過ぎた」と提訴、1,000社超に
州政府だけでなく、企業側の動きも広がっています。FedExやスポーツウェア大手Pumaを含む1,000社以上が、昨年設定された関税の返金を求めて提訴したとされています。多くの訴訟は、最高裁判断が出る前から進行していました。
また、ペン・ウォートン・バジェット・モデルのエコノミスト推計として、最大で1,750億ドル超の関税徴収が返金対象になり得るとも報じられています。規模が大きいだけに、還付の実務(申請・審査・支払い)をどう設計するかが次の焦点になりそうです。
「関税は誰が払っていたのか」—約9割は企業と消費者という研究
関税は名目上、輸入段階で徴収されますが、価格転嫁を通じて企業や消費者が負担する構図が指摘されてきました。ニューヨーク連銀の研究では、トランプ関税の負担の約9割を米国の企業と消費者が支払っているとされています。
全国小売業協会(NRF)は、最高裁判断がビジネスに一定の「確実性」をもたらしたとしつつ、下級審に対し、輸入者への返金が滞りなく進む手続きの整備を求めました。返金が実現すれば、企業が雇用や設備、顧客向けサービスに再投資する余地が生まれる、という見立てです。
今後の見どころ:還付のスピードと、関税政策の空白
最高裁の判断で大枠の方向性が示された一方、現場では次の論点が残ります。
- 還付の手続き:下級審や行政が、申請方法や証拠書類、対象範囲をどう整理するか
- 返金の優先順位:企業・中小事業者・消費者に近い価格転嫁分をどう扱うのか
- 政策の先行き:関税が後退した後の通商政策を、政権が何で埋めるのか
「返すべきお金」と「これからの貿易ルール」。二つの時間軸が同時に動く局面だけに、司法判断の余波は、州財政から企業活動、そして家計の感覚にまで、じわじわと広がっていきそうです。
Reference(s):
U.S. states and businesses demand tariff refunds amid uncertain future
cgtn.com







