パラマウント・スカイダンスがワーナー争奪戦で優勢、Netflixは増額せず撤退
ハリウッド大手の再編が一気に動きました。買収合戦の末、パラマウント・スカイダンスがワーナー・ブラザース・ディスカバリー(Warner Bros Discovery)獲得で優勢となり、Netflixは増額を見送り撤退。市場は「規律ある撤退」を好感し、Netflix株は急伸しました。
何が起きた?――Netflixが「これ以上は出さない」と明言
報道によると、Netflixは今週(2026年2月26日・木、現地時間)まで続いた買収合戦で、パラマウント・スカイダンスの最新提案に対抗して入札額を引き上げることを拒否しました。
Netflixは声明で、パラマウント・スカイダンスの提示水準に合わせると「もはや財務的に魅力的ではない」として、対抗提案を行わない方針を示しています。さらにNetflixはロイターに対し、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーへの入札から退くことを確認したとされています。
提示価格の差――パラマウントは1株31ドル、Netflixは27.75ドル
今回の焦点は、提示条件の差でした。ワーナー側は、パラマウントの改定提案がNetflix案を上回ると説明しています。
- パラマウント・スカイダンス:1株31ドルの改定提案
- Netflix:ワーナーの配信・スタジオ資産に対し1株27.75ドルの提案
パラマウントは、Netflixから主導権を奪うために強硬な姿勢(敵対的なキャンペーン)で追い上げ、先週には交渉を再び動かし、現金提案の上積み余地も示していたと伝えられています。
なぜNetflix株は上がったのか――「規律」を評価
Netflix株は、増額を見送った後に10%超上昇したとされています。買収競争では「勝つこと」だけでなく、「高値づかみを避けること」も投資家が重視します。
匿名のアドバイザーは、経済合理性が薄れたため撤退を勧めたといい、Netflix共同CEOのテッド・サランドス氏も2月20日のインタビューで「規律ある買い手」であることを強調していました。
同アドバイザーは、相手が“採算度外視に見える価格”をいとわない可能性があることにも触れ、買収戦の心理戦が限界に来ていた様子をうかがわせます。
統合が実現すると何が一体化する?――スタジオ、配信、ニュースが束ねられる
パラマウントとワーナーが統合すれば、ハリウッドの大型資産が一つにまとまります。報道では、以下の組み合わせが挙げられています。
- 大手映画スタジオ同士の統合
- 配信プラットフォーム:HBO Max と Paramount+
- ニュース事業:CNN と CBS
ワーナーCEOのデビッド・ザスラフ氏は、取締役会がパラマウントとの合意を採択すれば「株主価値を生む」と述べ、両社で世界に届く物語づくりを進める意欲を示しています。
最大の関門は規制審査――米国・州・欧州が焦点に
大型統合の次の焦点は、独占禁止法(反トラスト)を中心とした規制審査です。報道では、パラマウント側(エリソン家)にドナルド・トランプ大統領との関係があるとも触れられていますが、それでも審査が避けられない見立てです。
TDコーウェンのアナリストは、連邦規制当局の承認は政治環境上「可能性がある」としつつ、州規制当局、とりわけカリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタ氏が異議を唱える可能性、さらに欧州の規制当局が関与する余地にも言及しました。
ボンタ氏は「終わった話ではない」として、カリフォルニア司法省がオープンな調査を続け、厳格に審査する考えを示したとされています。州には取引差し止めを求めて提訴する権限がある一方、米司法省(DOJ)が最も資源を持つとも説明されています。
また、エリザベス・ウォーレン氏、バーニー・サンダース氏、リチャード・ブルーメンソール氏ら民主党上院議員は、承認が政治的えこひいきで歪められる懸念を表明したと報じられています。
資金面の手当て――解約金や負担増で「成立確度」を上げにいく
パラマウントの改定提案では、規制で取引が成立しない場合の解約金(ターミネーション・フィー)を58億ドルから70億ドルへ引き上げたとされています。さらに、ワーナーがNetflixとの合意を解消する際に生じる28億ドルの費用をカバーすることにも合意したと報じられました。
加えて資金の裏付けとして、以下の枠組みが示されています。
- エリソン・トラストのエクイティ(自己資本)拠出:457億ドル(従来の436億ドルから増額)
- 必要に応じ、ラリー・エリソン氏が追加資金を提供し、銀行の健全性要件を満たす支援
- 負債調達:バンク・オブ・アメリカ メリルリンチ、シティ、アポロが575億ドル(従来の540億ドルから増額)
これから何が起きる?――取締役会の手続きと、長い審査
今後は、ワーナーの取締役会がNetflixとの取引を終了し、パラマウント・スカイダンスの提案を正式に採択する手続きが残るとされています。その後は規制当局・州当局の審査が本格化し、統合の条件や事業の切り離し(必要なら)が議論になっていく流れです。
なお、ワーナーに少数株主として関わり、パラマウントとの対話を求めて圧力を強めていたアクティビスト投資家アンコラ・ホールディングスは、今回の提案を歓迎し、株主にとってより多くの現金と、政府承認への現実的な道筋が開けたとの見方を示しています。
配信とスタジオの競争が「買収」と「規制」の両輪で進む時代に、どこまでの統合が許容され、どんな条件が付くのか。視聴者が体感する変化(作品供給、サービスの料金や統合、ニュース運営の体制)は、ここからの審査と交渉に左右されそうです。
Reference(s):
Paramount wins Warner Bros, Netflix walks away and its shares jump
cgtn.com








