米国とイスラエル、対イラン「優先順位」の違いとは?専門家が整理
2026年2月、イランをめぐる議論で注目されるのは「米国とイスラエルは同じ方向を向いているのに、目の前の優先順位が違う」という点です。CGTNのインタビューで、クリストファー・ニューポート大学の孫太一(Sun Taiyi)准教授が、その違いを具体的に説明しました。
長期目標は共有、ただし「今すぐ」重視する脅威が異なる
孫氏によれば、米国とイスラエルは大きな戦略目標として、イランの地域的な影響力を弱め、最終的にはテヘランでの体制変化(regime change)を促す方向性を共有しているといいます。一方で、直近の政策判断を左右する「差し迫った脅威」の捉え方が異なることが、優先順位のズレにつながっているとしました。
米国の焦点:核兵器能力の獲得・進展を止める
孫氏は、トランプ政権の主眼は、イランが核兵器の能力を獲得したり、能力を進展させたりすることを防ぐ点に置かれていると述べました。核分野を軸に、抑止と圧力の組み立てが意識されている、という整理です。
イスラエルの焦点:弾道ミサイルと精密打撃能力
これに対しイスラエルは、イランが拡大させる弾道ミサイル戦力や、精密打撃(precision-strike)能力を、より「差し迫った存立上の脅威(existential threat)」として見ていると孫氏は説明します。つまり、核問題だけでなく、ミサイル・精密打撃の実装度合いが危機認識の中心にある、という見立てです。
ワシントンの「より広い計算」:協力関係の分断も狙う
孫氏はさらに、米国側にはより広い地政学的な計算があると指摘しました。イランを攻撃することで、テヘランとロシア、そして朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)といったアクターとの軍事・技術協力を妨げる狙いもある、という説明です。
「イラン案件」は複数の安全保障戦域とつながっている
孫氏は、イランをめぐるファイルは単独の地域問題ではなく、複数のグローバルな安全保障の戦域と相互に連結していると述べています。ある前線で圧力をかけることで、別の前線にも影響(reverberate)を及ぼす意図がある、という見方です。
今後の見どころ:同じゴールでも、手段の選択は揺れうる
孫氏の整理から浮かぶのは、長期目標が重なっていても、直近で優先する脅威が違えば、政策の順番や強調点が変わりうる、という現実です。核、ミサイル、そして第三国との協力関係——どれを「最優先」と置くかで、次の一手の組み合わせが変わっていくのか。議論の焦点は、そこに移りつつあります。
Reference(s):
Expert: 'Immediate priorities' differ between U.S. and Israel in Iran
cgtn.com








