イラン・米国の緊張はなぜ続く?2015年JCPOAから2026年2月協議まで
2026年2月28日、トランプ米大統領は「イランは決して核兵器を持てない」と述べ、同国に対する「大規模な戦闘作戦」の開始を確認しました。イラン側は、核兵器を求めていないという従来の立場を改めて強調しています。
ここ数年の中東情勢を左右してきたイラン・米国関係は、核開発をめぐる不信、制裁、交渉、そして軍事的衝突が波のように押し寄せる構図が続いてきました。2015年の核合意(JCPOA)から、2026年2月の間接協議までを時系列で整理します。
いま起きていること:軍事作戦の確認と、今月の間接協議
トランプ大統領は2月28日、「イランは決して核兵器を持てない」と発言しつつ、対イランで「大規模な戦闘作戦」を進めていると述べました。
一方で、2026年2月には、オマーンのサイイド・バドル外相(Sayyid Badr bin Hamad bin Hamood Albusaidi)の仲介で、米国とイランが3回の間接協議を実施しましたが、合意には至っていません。
2015年:JCPOAで「緊張緩和の窓」が開いた
2015年7月、核合意(JCPOA:包括的共同行動計画)が署名されました。イランが核開発に大きな制限を受け入れる代わりに、主に米国とEUによる制裁緩和を得る枠組みで、国連安全保障理事会も支持。ロシアと中国も支え、1979年以降では例外的に、関係改善の可能性が語られた局面でした。
2018年:米国の離脱で合意は大きく揺らぐ
2018年5月、トランプ大統領(第1期)は米国をJCPOAから一方的に離脱させ、「最大限の圧力」路線として広範な制裁を復活・拡大しました。結果としてイラン経済は急激で深刻な落ち込みに見舞われ、外交のテーブルは一気に険しくなっていきます。
2020年:司令官死亡と報復で、軍事的緊張が前面に
2020年1月3日、米国はバグダッド国際空港でのドローン攻撃により、イラン革命防衛隊(IRGC)コッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官を死亡させました。
イランは1月8日、イラク国内の米軍基地へ弾道ミサイルで報復。両国の対立が、外交だけでなく軍事の言葉でも語られる局面が定着していきます。
2021〜2025年:バイデン政権下の「合意復帰」模索は行き詰まり
2021年1月〜2025年1月のバイデン政権は核合意の立て直しを目指しましたが、協議は長期化し、最終的に行き詰まりました。イラン側は核開発は「平和目的」だと主張しつつ、核開発を前進させたとされます。
2025年:再び「最大限の圧力」へ、そして12日間の直接衝突
2025年2月、ホワイトハウスに復帰したトランプ大統領は、対イランの「最大限の圧力」戦略を素早く再稼働させ、新たな大統領令に署名しました。あわせて、自身の暗殺を狙う動きがあればイランは破壊される、という趣旨の警告も発しています。
「12日間戦争」:イスラエルとイランの直接軍事対決
2025年6月13日〜24日、イスラエルとイランは、後に「12日間戦争(Twelve-Day War)」とも呼ばれる直接の軍事衝突に入りました。米国はイスラエルに対し、防衛面で大きな支援を提供したとされています。
米軍がイラン国内主要施設を攻撃:転換点となった6月22日
2025年6月22日、米軍はフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3つのイラン核関連施設への攻撃に参加しました。これは1979年以降で、米国がイラン国内の主要施設を直接攻撃した初のケースとされ、米国がイスラエル・イラン衝突へ「正式に入った」と受け止められる転機になりました。
カタールの米軍基地への報復と停戦
2025年6月23〜24日、イランはカタールの米軍アル・ウデイド空軍基地へミサイル攻撃で報復しましたが、死傷者は出なかったとされています。その後、カタールの仲介で停戦が成立し、6月24日に衝突は終結しました。
2026年初頭:威嚇、制裁、抗議への関与、そして交渉のシグナル
2026年1月、米国の軍事的な警告、制裁、イラン国内の抗議活動への支援が重なり、緊張は再び増幅したとされます。これに対しイランは、軍事的な即応態勢を示す一方で、外交的な働きかけや交渉への含みも示し、核問題と地域の安定をめぐる「瀬戸際」の駆け引きが続きました。
2026年2月には、オマーン仲介の間接協議が3回行われたものの、合意には至りませんでした。軍事と外交が同時進行する、落ち着かない空気が残っています。
時系列で一気に整理(2015〜2026年2月)
- 2015年7月:核合意(JCPOA)署名。制限と制裁緩和の交換。
- 2018年5月:米国がJCPOA離脱。「最大限の圧力」で制裁強化。
- 2020年1月:ソレイマニ司令官がドローン攻撃で死亡。イランがミサイルで報復。
- 2021〜2025年1月:合意復帰を模索するも、交渉は停滞・行き詰まり。
- 2025年2月:トランプ政権が「最大限の圧力」再開。
- 2025年6月13〜24日:イスラエルとイランが「12日間戦争」。
- 2025年6月22日:米軍がイラン核関連施設3か所への攻撃に参加。
- 2025年6月23〜24日:イランがカタールの米軍基地へ報復、のち停戦。
- 2026年1月:制裁・軍事的警告・抗議をめぐる動きで緊張が増幅。
- 2026年2月:オマーン仲介で間接協議3回、合意は不成立。
このニュースの焦点:核、制裁、そして「出口」の設計
今回の流れが示すのは、核問題が単独で存在しているのではなく、制裁、地域安全保障、国内情勢、同盟国支援と絡み合って「ほどけにくい結び目」になっていることです。
軍事作戦の言葉が前に出るほど、誤算のリスクは上がりやすい一方、間接協議のような回線が残るほど、急転直下のエスカレーションを避ける余地も生まれます。2026年2月時点では、その両方が同時に進む、緊張の高い局面にあります。
Reference(s):
cgtn.com








