米国・イスラエルの対イラン攻撃に国連などが非難、対話再開を強く要請
2026年2月28日(現地時間)に米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を実施し、イランが報復攻撃に踏み切ったことを受け、国連や国際機関、各国首脳が相次いで懸念と非難を表明しました。焦点は「これ以上のエスカレーション(緊張激化)を止め、対話と交渉に戻れるか」に移っています。
何が起きたのか:攻撃と報復で連鎖のリスク
米国とイスラエルは土曜日、イランに対する軍事攻撃を実施しました。これに対しイランは、中東にある複数の米軍基地や、関連するイスラエル側の目標を狙った報復攻撃を行ったとされています。双方の応酬が続けば、地域全体の不安定化につながりかねない状況です。
国連安保理が緊急会合、事務総長は「平和的解決に代替なし」
国連安全保障理事会は同日、イラン情勢をめぐる緊急会合を開催しました。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、国連憲章が国際の平和と安全の基盤であるとし、「国際法と国際人道法は常に尊重されなければならない」と強調しました。
さらに、「国際紛争の平和的解決に、実行可能な代替案はない」と述べ、真摯な対話と交渉を含む平和的手段こそが、持続的な平和につながるとの認識を示しました。緊張緩和と即時の戦闘停止を求めつつ、「別の選択肢は、民間人と地域の安定に深刻な結果をもたらし得る、より広範な紛争の可能性だ」と警鐘を鳴らしています。
国際機関の懸念:医療・子ども・地域安定への影響
アラブ連盟(LAS):「不安定化と暴力の連鎖」を懸念
アラブ連盟(LAS)は声明で中東情勢への深い懸念を示し、国際社会に対し、緊張を緩和し不安定化と暴力の連鎖を防ぐための迅速な行動を求めました。
WHO(世界保健機関):「対話を選ぶべきだ」
WHOのテドロス事務局長は声明で、すべての国の人々が暴力の脅威なく平和に暮らす権利があると述べ、各国指導者に対して「損害ではなく対話の道」を選ぶよう訴えました。
UNICEF:「学校など民間施設への攻撃は国際法違反」
UNICEFは、イランで学校が攻撃を受けたとの報告に深い懸念を示し、「民間人や学校を含む民間施設を標的にすることは国際法違反」だと強調しました。各当事者に対し、緊張を高める行動の自制を求めています。
アフリカ連合(AU):「エネルギー・食料・経済の波及」を警告
アフリカ連合(AU)委員会のマフムード・アリ・ユスフ委員長は、米国がイスラエル軍と連携して実施した攻撃は敵対行為の深刻な激化だと指摘しました。さらなるエスカレーションは世界的な不安定化を招き、エネルギー市場、食料安全保障、経済の耐性に影響し得るとして、とりわけアフリカへの含意の大きさを挙げました。
各国首脳も相次ぎ発信:主軸は「主権尊重」と「最大限の自制」
複数の国々が、主権や領土保全、民間人保護、外交努力の継続を軸に声明やSNS投稿で見解を示しました。
- エジプト:アブデルファタハ・エルシーシ大統領は複数のアラブ諸国指導者と電話協議し、アラブ諸国の主権・安全・安定を損なう行為を拒否し強く非難。軍事的解決はどの当事者の利益にもならず、暴力と不安定の悪循環を招くとし、対話と外交への回帰を強調しました。
- キューバ:ミゲル・ディアスカネル大統領はSNSで、米国とイスラエルの攻撃はイランの主権と領土保全に反すると投稿。核問題をめぐる外交努力を損ない、地域と国際の平和と安全を危うくする可能性があるとして、エスカレーション防止のための即時行動を呼びかけました。
- コロンビア:グスタボ・ペトロ大統領はSNSで、米国とイスラエルの軍事行動は「誤り」だと述べ、多数の未成年が死亡する事態は苛烈だと指摘。核問題をめぐる米国とイランの対話継続を求めました。
- 南アフリカ:シリル・ラマポーザ大統領は、地域と国際の平和と安全に深刻な脅威をもたらし、人道・外交・経済面で広範な影響があり得ると表明。国連憲章、国際法、国際人道法に沿った行動と最大限の自制、外交努力の強化を呼びかけました。
- ポルトガル:ルイス・モンテネグロ首相はSNSで、国連憲章の原則に沿い「最大限の自制」を求め、さらなる緊張激化の回避と地域の安定を訴えました。
- ブラジル:政府声明で米国・イスラエルの攻撃を非難し、交渉プロセスのさなかに起きた点に「重大な懸念」を表明。平和への道は交渉しかないとして、国際法の尊重と自制、民間人保護を求めました。
このほか、トルコ、リビア、アルジェリア、アゼルバイジャン、ジョージア、ウルグアイ、ニュージーランド、ペルー、メキシコ、チリ、ベネズエラなども、中東の情勢悪化への懸念を表明し、対話と交渉の優先を促しています。
いま注目される論点:民間人保護と「対話の窓」を閉じないこと
今回の一連の反応には、共通して次の論点がにじみます。
- 民間人と民間施設の保護:学校への攻撃報告などを受け、国際人道法の順守が改めて問われています。
- 地域の連鎖的拡大の回避:軍事の応酬が周辺国や国際経済へ波及する懸念が強まっています。
- 外交努力の継続:核問題を含む対話の枠組みを維持し、「戦闘停止→交渉再開」へつなげられるかが焦点です。
当事者の主張が鋭く対立する局面ほど、第三者による仲介や国際機関の役割が重みを増します。今後、緊張を抑えるメッセージが具体的な行動に結びつくのか、国連などの場での外交の動きが注視されます。
Reference(s):
Countries, organizations condemn U.S.-Israel strikes on Iran
cgtn.com








