米の対イラン作戦に超党派の反発 議会承認なき攻撃で「戦争権限」論争
米国で、ドナルド・トランプ大統領が議会承認を得ないままイランに対し「大規模な戦闘作戦」を開始したことを受け、与野党をまたぐ反発が広がっています。2026年3月1日現在、焦点は「大統領がどこまで単独で武力行使を決められるのか」という、米国の統治の根幹に関わる問題に移りつつあります。
何が起きたのか:議会を通さず「Operation Epic Fury」
報道によると、米政権はイランに対する「Operation Epic Fury(エピック・フューリー)」を発動。議会の事前承認を得ない形での軍事行動が、米国内で憲法上の手続きや権力分立(政府権力の分散)をめぐる議論を呼んでいます。
「明白な憲法違反」との指摘も
超党派の動きの中心にいるのが、民主党のティム・ケイン上院議員と共和党のトーマス・マッシー下院議員です。両氏は、今回の軍事行動が議会の戦争権限を回避する「危険で違法な」行為だとして、議会が権限を再確認すべきだと訴えています。
ジョージタウン大学ローセンターのデービッド・スーパー教授はCGTNの取材に対し、政権の行動は「明白で、ほとんど自認しているに等しい憲法違反」だと述べたとされています。
戦争権限決議は動くのか:「多数派」がカギに
ケイン議員は、上院が「直ちに」招集され、イランでの敵対行為に米軍を投入することを止めるため、戦争権限決議(War Powers Resolution)を採決すべきだと主張しました。報道では、採決は早ければ週明けの月曜日(2026年3月2日)にも行われ得るとされています。
一方でスーパー教授は、共和党が上下両院で多数派を握っている状況では、決議を本会議の討論・採決に乗せること自体が難しくなり得る、とも指摘しています。仮に審議が遅れれば、「作戦は完了したので争点が消えた(moot)」という政治的な理屈が生まれ、反対に回りにくくなる可能性がある、という見立てです。
世論とのねじれ:多数が「承認なしの武力行使」に否定的
世論面でも逆風が示されています。2026年1月のクイニピアック大学の世論調査では、有権者登録者の70%が「他国への軍事行動の前に議会承認を得るべきだ」と回答し、同じく7割が「イランへの軍事行動を望まない」と答えたとされています。
攻撃後の土曜日には、ロサンゼルスやニューヨークなどで抗議デモが起きたと報じられました。参加者は「他国の統治に介入する権利はない」と訴え、戦争の終結を求めたとされています(China Media Group)。
「America First」の試金石に:内政要因の見方も
今回の動きは、トランプ氏が掲げてきた「America First(米国第一)」の意味を改めて問う形にもなっています。イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相は、トランプ氏が「America First」を「Israel First」に変えたと述べたとされ、米国内でもマッシー議員が「これは『America First』ではない」と批判しました。
また、クリストファー・ニューポート大学の孫太一教授はCGTNに対し、攻撃のタイミングを読むうえで国内政治の要因も重要だと指摘。経済や移民など、これまで優位だった争点が政治的な重荷になりつつある中で、対外的な大きな出来事によって世論の注目を移し、強さを演出する誘因がある、という見方を示しています。
今後の注目点(3つ)
- 議会は採決に進めるのか:決議が議場に上がるまでの手続きと、与党内の温度差。
- 作戦の「完了」が議論を止めるのか:成功・失敗の評価以前に、手続きの検証が置き去りになる懸念。
- 世論と政治の距離:反戦・慎重論が強い中で、政権と議会がどこで折り合うのか。
軍事行動の是非とは別に、「誰が、どの手続きで、戦争を決めるのか」という問いが前面に出ています。2026年の米政治は、外交・安全保障をめぐる判断が、国内の制度設計そのものを照らし出す局面に入りつつあるのかもしれません。
Reference(s):
'Not America First': U.S. unauthorized war with Iran faces backlash
cgtn.com








