パキスタンで抗議デモ拡大、イラン最高指導者殺害に怒り 23人死亡
2026年3月1日(日)、パキスタン各地で、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の殺害に抗議するデモが相次ぎ、少なくとも23人が死亡、100人超が負傷しました。米国の外交施設周辺では一部が侵入を試み、治安部隊との衝突に発展しています。
何が起きたのか:死者23人、衝突は複数都市に
ロイターによると、死者が確認された主な場所は次の通りです。
- カラチ(南部の港湾都市):10人死亡。米国領事館の外周で衝突が起き、警備側が発砲したとされています。
- スカルドゥ(北部):11人死亡。群衆が国連事務所に集まり、建物が放火されたと地元当局者が説明しました。
- イスラマバード(首都):2人死亡。外交施設が集まるエリアに向かおうとしたデモ隊に対し、警察が催涙ガスに加え実弾を使用したとされています。
このほか、ラホールでも米国領事館周辺に人が集まり、警察が催涙ガスを使用する小規模な衝突があったといいます。
カラチ:領事館の「外周」を越えた瞬間、緊張が一気に
カラチでは、親イラン系とされるデモ参加者が米国領事館への侵入を試み、警察と衝突しました。地元政府の報道官は、群衆が外側の防護層を突破したため、警備スタッフが発砲し、押し戻されたと説明しています。
現場周辺では車両が燃やされ、催涙ガスが使われたとも伝えられました。病院側は、死傷者はいずれも銃創だったとしています。
また、米国大使館(イスラマバード)はXで、デモ情報を監視しているとして、米国人に対し身の安全に留意するよう呼びかけました。
スカルドゥ:国連施設への放火が示した「怒りの矛先」
北部ギルギット・バルティスタンのスカルドゥでは、国連事務所が放火されました。同地域は、パキスタンで唯一シーア派が多数派(プルーラリティ)とされ、抗議の規模が大きくなった背景として注目されています。
首都イスラマバード:交通遮断と衝突、外交エリアへ緊張
イスラマバードでは約4,000人が街頭に出たとされ、警察は外交ミッションが集まる「レッドゾーン」へ通じる道路を封鎖しました。複数の当局者は、デモ隊が外交地区へ向かおうとした際、警察が催涙ガスと実弾を使用し、死者と負傷者が出たと述べています。
背景:ハメネイ師殺害と、周辺国に広がる衝撃
報道によれば、イスラエルと米国は土曜日(3月1日の前日)早朝にイランへの大規模な航空作戦を開始し、その過程で長年権力の座にあった最高指導者が殺害されたとされています。隣国パキスタンでは、人口規模の大きいシーア派(推計2,000万〜3,000万人)が暮らしており、感情の波が街頭行動に直結しやすい土壌があるとも指摘されています。
デモでは黒旗が掲げられ、反米・反イスラエルのスローガンが繰り返し叫ばれたとされています。こうした言葉が増幅しやすい局面では、外交施設や国際機関が象徴的な「標的」として扱われ、現場の緊張が急速に高まる構図が浮かびます。
当局の反応:沈静化を促しつつ、悲嘆に寄り添う姿勢も
内相モフシン・ナクビ氏は、抗議は平和的に行うよう求め、「(イランの人々と)同じ痛みを感じている」といった趣旨の発言をしたと伝えられました。
また、パキスタンのシェバズ・シャリフ首相は3月1日夜、ハメネイ師殺害を国際法違反だとして、「国家元首・政府首脳は標的にされるべきではない」という趣旨の見解をXに投稿したと報じられています。
今後の焦点:外交施設の警備、抗議の広がり、暴力の連鎖を止められるか
今回の出来事は、抗議の権利と公共の安全、そして外交施設・国際機関の保護が同時に問われる局面を突きつけました。とくに、銃器の使用が報じられた都市もあり、現場の判断が被害の拡大を左右しやすい状況です。
各地で沈静化の呼びかけが続く中、怒りがどこへ向かうのか、そして暴力の連鎖を断ち切れるのか。3月に入り、地域の緊張は新しい段階に入ったようにも見えます。
Reference(s):
At least 23 dead in Pakistan protests over killing of Khamenei
cgtn.com








