米控訴裁、トランプ氏の「関税返金訴訟」延期要請を却下
米国の連邦控訴裁判所が2026年3月2日(現地時間)、トランプ大統領側が求めていた「関税返金をめぐる訴訟手続きの延期」を認めず、下級審での審理が進む流れとなりました。先月、連邦最高裁がトランプ氏のグローバル関税を違法と判断したことを受け、返金を求める企業側と政府側の攻防が本格化しています。
何が起きた?──「最大4か月の延期」を裁判所が否定
今回の判断を出したのは、米連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)です。トランプ政権側は、関税返金に関する訴訟を再び米国際貿易裁判所(Court of International Trade)で扱う前に、最大4か月の延期を求めていましたが、3月2日の命令で退けられました。
この件では、控訴裁が昨年(2025年)8月に、トランプ氏の関税の多くを違法と判断しつつ、返金の扱いは国際貿易裁判所に戻して検討する流れを示していました。ただ、トランプ氏が最高裁に上訴していた間は、下級審に戻す手続きを一時停止していました。今回、その停止が解除された形です。
背景:最高裁が先月、トランプ氏のグローバル関税を違法と判断
先月(2026年2月)、連邦最高裁がトランプ氏の「グローバル関税」を違法として退けました。これにより、企業が「払いすぎた関税」の返金を求めて争う道が開かれ、複雑な返金訴訟のフェーズに入っています。
問題となった関税は、2025年末時点で米政府に1300億ドル超の歳入をもたらしていたとされています。返金を求める動きが広がれば、企業の資金繰りだけでなく、政府の財政運営にも影響が及び得る論点です。
訴訟はどれくらい広がっている?──「900件超」の返金請求という見立て
小規模事業者を支援する団体リバティ・ジャスティス・センターは、返金を求める請求が連邦裁判所で900件超にのぼるとの推計を示しています。分析によっては、すでに1000を超える企業体が返金をめぐる争いに関わっている、という見方もあります。
提訴企業には、配送・貨物大手のFedEx(先月提訴)や、会員制倉庫型小売のCostco(最高裁判断以前から争っていたとされる)に加え、Dyson、L'Orealなども含まれるとされています。
争点の一つ:「返金できるから問題ない」vs「返金の段になって遅らせるのか」
延期に反対する小規模事業者側は、政権側の数か月単位の延期要請を「明らかに不合理」と主張しました。提出書面では、最高裁が不適切と判断した類いの救済を認めるべきではない、という趣旨も述べています。
また、リバティ・ジャスティス・センターは先週の声明で、政府がこれまで「企業は返金で埋め合わせできるため、回復不能な損害はない」と主張してきた一方で、返金の局面では手続きを遅らせようとしている点を問題視しました。
今後の見通し:下級審で「返金」の具体論へ
今後は国際貿易裁判所で、返金の扱いが具体的に争われる見通しです。対象範囲、手続きの進め方、個別の請求の整理など、実務的な論点が前面に出てくる可能性があります。
なお、先月の最高裁判断は「分野別(セクター別)の関税」には影響しないとされています。
「関税」は終わらない?──新たな10%課税と、15%への引き上げ示唆
トランプ氏は、最高裁が国別関税を退けた後、別の法律に基づいて輸入品に新たな10%の関税を課したとされます。さらに15%へ引き上げる可能性も示唆しています。
返金訴訟の行方と並行して、関税政策そのものがどのような形で続くのか。企業側にとってはコスト見通し、政府側にとっては制度設計と説明責任が問われる局面が続きそうです。
Reference(s):
US appeals court denies Trump bid to delay tariff refund lawsuits
cgtn.com








