イラン大統領「領土は一寸も渡さない」 近隣国へ謝意、原油市場も緊張
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は2026年3月8日、国土を「敵」に奪われることは決して許さないと述べ、領土保全の姿勢を鮮明にしました。米国とイスラエルによる攻撃が続く中、周辺国との関係をどう保つのか、そして西アジアの原油供給への影響が同時に注目されています。
きょう(3月8日)何が語られたのか
イランの公式通信によると、ペゼシュキアン大統領はテヘランでザファルガンディ保健相と会談した際、現在の米国・イスラエルの攻撃を踏まえ、次の点を強調しました。
- 「敵」に国土の一部たりとも奪われない
- 地域の緊張で影響を受けた人々への懸念と謝意
- 周辺国との「良好で兄弟的」な関係を重ねて確認
「誤解された」発言——周辺国への謝意と火種の切り分け
大統領は前日(3月7日)、周辺国に対して謝罪し「(周辺国に対する)攻撃は止まる」と述べたことに触れ、発言が「敵」によって誤って解釈され、イランと周辺国の間に不和を生み出す材料として使われている、という趣旨の見方を示しました。
そのうえで「地域の緊張で影響を受けた大切な人々を心配している。彼らに謝意を伝える」と述べ、対立の矛先が周辺国や住民に向けられることは望まない姿勢をにじませました。
「他国領からの攻撃には反撃」——ただし“対立相手”とは別だと説明
ペゼシュキアン大統領は、もし米国やイスラエルが「他国の領土」からイランを攻撃するなら、イランは「必然的に」対応すると述べました。一方で、その反応は当該国やその人々との紛争を意味しない、とも付け加えています。
衝突が広域化しやすい局面で、軍事的な牽制と外交的な火消しを同時に行う発言として受け止められそうです。
2月28日の共同攻撃から応酬へ——指導部の死と報復攻撃
今回の発言の背景には、2月28日にイスラエルと米国がテヘランを含む複数都市へ共同攻撃を行い、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師が複数の上級軍幹部や民間人とともに死亡した、という事態があります。
その後、イランは中東のイスラエルおよび米軍拠点に対し、ミサイルとドローンによる攻撃を複数回にわたり実施したとされています。軍事の応酬は国境を越えた緊張を強め、外交の余地を狭める圧力にもなっています。
原油輸出に波及の懸念——議会議長が「生産・輸出の深刻な混乱」警告
戦闘の長期化が懸念される中、イラン議会のモハンマド・バゲル・ガリバフ議長は同日、Xへの投稿で「戦争が続けば、西アジア地域の石油生産と輸出が深刻に混乱し得る」と警告しました。
さらに、ドナルド・トランプ米大統領が「原油価格は急騰しない」と述べたことを念頭に、すでに価格上昇がその見通しと矛盾していると批判。戦争の継続は米国の利益だけでなく、ほかの国々の利害にも影響し得る、との認識を示しました。
この先の焦点:軍事・外交・市場が同時に動く局面
現時点で焦点となるのは、(1)周辺国を巻き込む形での衝突拡大を抑えられるか、(2)攻撃と報復の連鎖を止める対話の回路が残っているか、(3)原油の供給懸念がどこまで市場心理を揺らすか——の三点です。
ペゼシュキアン大統領の「領土は一寸も渡さない」という強い言葉と、周辺国への謝意という柔らかい言葉が同じ場で語られたことは、いまの局面が単純な軍事対立にとどまらず、地域関係とエネルギーの連鎖の上にあることを映しています。
Reference(s):
Pezeshkian: Iran will not allow 'enemies' to seize its territory
cgtn.com








