キューバ指導者、トランプ氏の「米州防衛」会合を「新植民地主義」と批判
米フロリダで開かれた「Shield of the Americas(米州の盾)」サミットで、トランプ米大統領がキューバに「間もなく」動くと示唆したことを受け、キューバのミゲル・ディアスカネル大統領が「新植民地主義的な会議だ」と強く反発しました。地域の安全保障と内政への軍事介入をめぐる言葉の応酬が、両国関係と中南米外交の空気を冷やしています。
何が起きたのか:フロリダ会合での発言が火種に
ディアスカネル大統領は2026年3月7日、X(旧Twitter)への投稿で、米国が主催した「Shield of the Americas」サミットを「新植民地主義的」と表現しました。投稿では、米国が「地域の右派政権の支援を得て」会合を開いたとし、各国に対して「国内問題の解決に米軍の致死的な武力行使を受け入れさせることが目的だ」と主張しています。
さらに同大統領は、2014年にハバナで33のカリブ諸国が採択した「ラテンアメリカ・カリブ海を平和地帯とする宣言」に言及し、今回の会合は「平和地帯の宣言」や「地域統合の志向」への攻撃だと述べました。
トランプ氏は何を言ったのか:「キューバは終点に近い」
報道によると、トランプ大統領は同日、マイアミ近郊の自身のゴルフクラブで開かれたサミットで、イランとベネズエラへの軍事行動を誇示したうえで、キューバに対しても「間もなく」動きがあると示唆しました。
トランプ氏は会合の場で、ベネズエラの「歴史的な転換」に触れつつ、「キューバにも近く大きな変化が来る」「キューバは終点に近い。金も石油もない」などと述べたとされています(※発言は報道に基づく要旨)。
また前日の3月6日にはCNNの取材に対し、当面はイランとの戦争に注力しつつも、キューバは「かなり早く倒れる」と語ったとも報じられています。
「対カルテル連合」構想:言葉の強さがもたらす波紋
サミットでは、トランプ大統領が「America's Counter Cartel Coalition(米国の対カルテル連合)」立ち上げの宣言に署名したとされます。報道によれば、対象は「カルテルとテロネットワーク」で、西半球(西側半球)全域での「致死的な軍事力の行使」をコミットすると説明したということです。
「麻薬組織対策」や「治安協力」は多くの国で政治的に支持を得やすいテーマです。一方で、武力行使の範囲や、各国の主権・法執行との線引きが曖昧なまま強い言葉が先行すると、賛同と警戒が同時に広がりやすい側面もあります。
欠席した主要国も:地域の温度差が可視化
今回の会合には、ディアスカネル大統領のほか、ブラジル、メキシコ、コロンビアの指導者も出席しなかったと報じられています。出欠の判断は国ごとに事情が異なるものの、同じ中南米でも安全保障観や対米距離感に差があることが、結果的に浮かび上がりました。
背景:キューバ経済・エネルギー危機とベネズエラ情勢
報道によると、キューバは深刻な経済・エネルギー危機に直面しています。その要因として、米国が2026年1月3日にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を「強制的に拘束」し、その後キューバへの石油供給(ベネズエラおよびメキシコから)を大きく混乱させたことが挙げられています。
この状況は、キューバ側の反発を単なる言葉の応酬にとどめず、「生活インフラに直結する危機認識」と結びつけています。外交・安全保障の議論が、エネルギーと制裁、そして地域の政治変動と絡み合う構図が見えてきます。
今後の焦点:強硬姿勢は「抑止」か「反発の連鎖」か
今後の注目点は、米国が示唆した「対キューバの差し迫った措置」が具体的に何を指すのか、そして「対カルテル」を掲げる軍事的コミットがどこまで制度化されるのかです。対立が深まれば、域内協力(治安・移民・エネルギー)の現場にも影響が及ぶ可能性があります。
一方で、同じ「安全」を目指すにしても、軍事・制裁・外交のどの手段を前面に出すかで、地域の受け止め方は大きく変わります。今回の応酬は、その分岐点をあらためて映し出したと言えそうです。
Reference(s):
Cuban leader calls Trump's summit 'neocolonial' after US threats
cgtn.com








