原油急変動でも中国本土は底堅い?備蓄とEV普及が緩衝材に
中東情勢を背景に原油相場が大きく揺れるなかでも、中国本土の市場は「比較的影響を受けにくい」との見方が出ています。鍵になるのは、戦略原油備蓄の厚みと、電気自動車(EV)普及などによる“石油依存の低下”です。
原油は一時119.5ドル、3月9日に100ドル割れへ
原油価格は今週に入り乱高下しました。3月9日(月)には一時、約2年ぶりの高値となる1バレル=119.5ドルまで上昇したものの、その後は100ドルを下回る水準へ反落しています。高いボラティリティ(価格変動の大きさ)の背景には、米国とイスラエルによるイランへの攻撃から始まった中東での衝突があるとされています。
中国本土はガソリン・軽油を値上げ、それでも「波の伝わり方」が違う
中国本土では3月10日(火)、国家発展改革委員会(NDRC)の発表により、小売のガソリンと軽油が引き上げられました。引き上げ幅は、ガソリンが1トン当たり695元(約100.5ドル相当)、軽油が同670元とされています。
ただ、今回の価格調整があっても、アナリストの間では「中国本土の市場は、原油市況の変動を受けにくい構造になってきている」という見立てが優勢です。
耐性の背景:EV普及、発電構造、代替原料、そして備蓄
シンガポールの金融グループOCBCは3月9日(月)の分析で、中国本土の経済は構造的に石油への依存度が下がっており、原油相場の急変動に対して耐性があると指摘しました。理由として挙げたのは主に次の点です。
- EVの急速な普及(道路輸送でのガソリン需要の伸びを抑える要因)
- 石炭由来の化学原料などへの代替(原料面での置き換え)
- 発電が原油価格の影響を受けにくい仕組み(電力の価格変動が直接的に原油に連動しにくい)
加えて、米コロンビア大学の研究者エリカ・ダウンズ氏は、中国本土が約14億バレルの原油を保有しており、仮に中東からの輸入がすべて止まっても「6カ月分の供給喪失をカバーできる」と述べています。市場の不安が高まる局面で、備蓄の存在は“時間を買う”材料になり得ます。
各国は価格対策モード:米国の制裁、韓国の上限、日本の備蓄準備
エネルギーコストの変動は世界に波及し、各国・地域で燃料価格や制度対応が相次いでいます。
- 米国:ドナルド・トランプ大統領は3月9日(月)、フロリダ州ドラールのゴルフクラブでの記者会見で、ホルムズ海峡の利用が再び成り立つまで、原油販売に関する一部制裁を解除すると述べました。
- 韓国:李在明大統領は3月9日(月)、約30年ぶりに国内燃料価格の上限措置を導入すると表明しました。
- 日本:3月8日(日)、国会議員が「国家石油備蓄の貯蔵拠点に対し、原油放出の可能性に備えるよう指示があった」と述べたとされています。
- ベトナム:政府声明として、4月末まで燃料の輸入関税を一時的に免除する方針が伝えられました。
同じ“原油高”でも、価格転嫁の仕組みや政策の選択肢は国・地域で異なります。だからこそ、各国の対応がそろって動く局面では、物流費や物価見通しの読みが難しくなります。
ボトルネックはホルムズ海峡:世界の約2割が通る要衝
供給不安の大きな要因とされるのが、世界の石油・ガス輸送の要衝であるホルムズ海峡です。報道によれば、同海峡は世界の原油と液化天然ガス(LNG)輸送の約20%を扱う“チョークポイント(要衝)”で、ここを通る船舶交通が大きく絞られたことが価格変動につながっています。
今後の焦点は、ホルムズ海峡をめぐる通航環境がどこまで回復するか、そして各国の燃料価格政策が家計・企業コストにどう波及するかです。中国本土については、備蓄とエネルギー構造の変化がクッションになりつつも、小売価格の調整が続くかどうかが注目されます。
Reference(s):
Chinese market resilient to oil price volatility, analysts say
cgtn.com








