対イラン作戦の費用、米納税者負担は1日約8.9億ドル CSIS試算
米軍の対イラン作戦(Operation Epic Fury)をめぐり、開始から最初の100時間だけで推計37億ドルが投じられ、1日あたり約8億9140万ドルにのぼる――米国の防衛シンクタンクが2026年3月に示した試算が波紋を広げています。費用の大半が当初予算に入っていない点が、今後の追加財源や議会論争の焦点になりそうです。
最初の100時間で37億ドル、その94%超が「未計上」
分析を公表したのは、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」です。CSISによると、最初の100時間で推計37億ドル(約3.7 billion dollars)を要し、このうち35億ドル(約3.5 billion dollars)と、全体の94%超が「未計上(予算化されていない)」とされています。
米国では、大規模な軍事作戦が長期化すると、国防総省が追加予算を求める展開になりやすいとされます。CSISは今回、未計上コストの膨張が、その圧力を強める可能性を示唆しました。
コストの内訳:弾薬の補充が最大、しかも全額未計上
CSISは費用を大きく3つに分けています。
- 作戦運用コスト:約1億9600万ドル(このうち約1億7800万ドルは予算計上、残りは未計上)
- 弾薬の補充(使用分の置き換え):約31億ドル(全額未計上)
- 戦闘損耗の補填・インフラ損傷の修復:約3億5000万ドル(未計上)
とくに弾薬補充が突出して大きく、しかも「現在はどれも予算化されていない」とされている点が、財政面の不確実性を高めています。
長期化すれば追加資金の議論へ:鍵は作戦強度とイランの反応
CSISは、今後の費用を左右する要因として、作戦の強度(どれだけの規模と頻度で作戦が続くか)と、イラン側の反応の実効性を挙げています。米大統領ドナルド・トランプ氏と国防長官ピート・ヘグセス氏が、衝突が数週間に及ぶ可能性を示唆したとも伝えられており、短期決着を前提にしにくい空気が出ています。
またCSISは、未計上費用を内部の予算調整だけで捻出する場合、大幅な削減が必要になり「政治的にも作戦上も難しい」可能性があると分析しています。結果として、議会での追加財源の議論が避けにくくなる、という構図です。
「天文学的」になり得る? 民間試算は2カ月で400億〜950億ドル
費用見通しは、米国内でも見解が割れています。CNNの取材では、ペン・ウォートン予算モデル(University of Pennsylvania内の研究イニシアチブ)のケント・スメッターズ氏が、衝突が2カ月続いた場合のコストを400億〜950億ドルと推計しました。地上部隊の投入有無や、弾薬の補充ペースで振れ幅が大きいといいます。
また、Institute for Policy StudiesのNational Priorities Projectを率いるリンジー・コシュガリアン氏は、戦費は「非常に予測困難」で、終結するまで全体像は見えないと指摘。過去の例として、イラク戦争が最終的に約3兆ドルに膨らんだ点を引き合いに、今回も「天文学的」になり得るという見方を示しました。
情報が少ないこと自体が論点に:作戦の透明性と説明責任
CSISは、推計が国防総省の公表情報に依存している一方で、Operation Epic Furyについては、過去の中東での作戦に比べて詳細が少ないとも述べています。作戦の規模や消耗の実態が見えにくいほど、費用見積もりの幅が広がり、議会や世論の疑念も強まりやすくなります。
いま米国では、議会関係者、メディア、世論の間で「いくらかかっているのか」という問いが強まっているとされます。軍事・安全保障の判断そのものに加えて、財政の説明責任が問われる局面に入ってきたと言えそうです。
今後の注目点(短く整理)
- 弾薬補充など未計上費用の具体額が、どのタイミングで表面化するか
- 追加予算の要否と、議会での審議の行方
- 作戦強度の変化と、損耗・修復費の増減
- 国防総省がどこまで情報を開示するか
Reference(s):
Iran war costs US taxpayers over $890 mln per day, think tank finds
cgtn.com








