英国政府が「マンデルソン・ファイル」初公開 エプスタイン問題で審査の経緯に焦点
なぜ今重要か:英国政府が2026年3月11日、ピーター・マンデルソン氏の駐米大使任命をめぐる文書の一部を公開し、エプスタイン氏との過去の関係を把握していた範囲や審査の妥当性が改めて問われています。
英国政府は11日、マンデルソン氏の駐米大使就任に関する文書の「第一弾」を公表しました。公開分は約147ページで、今後も追加の開示が予定されています。一方で、英メディアは、警察捜査の継続や将来の法的手続きの可能性を理由に、一部記録は当面非公開のままになる可能性があると報じています。
今回公開された文書で分かったこと
「評判リスク」への事前警告
公表文書によると、政府内の担当者は、マンデルソン氏とジェフリー・エプスタイン氏(米国の金融関係者で、性犯罪で有罪となった人物。すでに死亡)との過去の交友が「評判上のリスク」になり得ると、首相に事前に警告していました。
文書には、2024年12月4日に実施したチェックに基づく首相向け助言が含まれ、エプスタイン氏が2008年に未成年者を巡る罪で有罪となった後も、関係が一定期間続いていたと記されています。期間は2009年から2011年に及び、マンデルソン氏がビジネス相を務めていた時期から、労働党政権終了後まで続いたとされています。
2009年6月の滞在報道にも言及
同じ助言文書では、エプスタイン氏が服役中だった2009年6月に、マンデルソン氏がエプスタイン氏の自宅に滞在したとの報道にも触れています。
任命プロセスは「異例で、妙に急いだ」?
別の記録では、任命をめぐる政府内のやり取りの一端が示されました。首相官邸の当時の首席補佐官モーガン・マクスウィーニー氏が、エプスタイン氏とのつながりを問題提起していた一方、コミュニケーション・ディレクターのマシュー・ドイル氏は、マンデルソン氏の説明に納得していたとされています。ただし、今回の開示には、追加の照会や、その後の詳しいやり取りが含まれていないとされます。
さらに、要職者の間で任命手続きへの戸惑いがあったことも示唆されました。2025年9月に行われた事実確認の通話の要約として、国家安全保障顧問ジョナサン・パウエル氏が、任命過程を「異例で、妙に急いだ」と表現し、評判面の懸念を提起したと記されています。外務省の当時の筆頭事務次官フィリップ・バートン氏も留保を示していた、という記載もありました。
文書はまた、個人的なつながりがある政治任用者が在任中に問題を起こした場合、首相がより大きな政治的打撃を受けかねない、と官僚側が警告していたことも伝えています。
解任後の「退職金」をめぐる数字も公表
今回の開示には、駐米大使を解任された後の清算(退職金等)に関するやり取りも含まれました。文書によると、マンデルソン氏は当初、4年の任期固定契約の残期間相当として、54万7,201ポンド(約73万4,000ドル)の支払いを求めたとされています。
最終的に政府が認めたのは、法的に支払義務がある4万330ポンドに加え、裁量的支払いとして3万4,670ポンドでした。
捜査の状況:逮捕後も捜査は継続
英BBCなどによると、マンデルソン氏は「50万ポンド超を要求した」との受け止め方に異議を唱え、エプスタイン氏との関係についての質問にも正確に答えたと主張しています。また、刑事上の不正を否定し、私的利益のために動いたことも否定した上で、捜査に協力しているとされています。
マンデルソン氏は今年2月23日、ロンドン警視庁により公職不正行為の疑いで逮捕され、その後、先週金曜日に保釈条件が解除されたものの、捜査は継続中とされています。英警察は、公職在任中の不正行為の疑いに加え、市場に影響し得る情報の取り扱いに関する疑いも含む可能性があるとされています。
ここからの焦点:開示の「次の一手」と説明責任
英メディアは、今回の公開で「内部でどんな警告があり、どんな金銭決着になったか」は一定程度見えた一方、審査(ベッティング)でマンデルソン氏が当局を誤解させたのかどうかという核心は、なお決着していないと伝えています。
マンデルソン氏は2025年初めに駐米大使に就任しましたが、エプスタイン氏をめぐる疑問が再燃し、約7カ月でキア・スターマー首相により解任されたとされています。スターマー首相は、任命時の審査過程でマンデルソン氏が関係性の全容を十分に開示しなかったとの見方を示しています。
今後の追加開示が、未公開のやり取り(追加質問や説明の詳細)に踏み込むのか。それとも捜査を理由に「空白」が残るのか。英国政治の説明責任と、要職任命の透明性が、改めて静かに試される局面に入っています。
Reference(s):
UK releases first batch of Mandelson files amid Epstein scrutiny
cgtn.com








