ホルムズ海峡が封鎖状態続く、原油99ドル超に—2026年3月の世界経済への波紋
2026年2月28日に米国とイスラエルがイランに対する軍事行動を開始して以降、ホルムズ海峡は事実上、船舶の通航が難しい「封鎖状態」が続いています。エネルギーだけでなく、金属・肥料・食料、そして株式市場まで、影響が同時多発的に広がっています。
原油は再び急騰、ブレントは99ドル超
国際指標であるブレント原油は1バレル99ドルを再び上回りました。2026年初めに1バレル60ドル前後で推移していた局面から比べると、上昇幅の大きさが際立ちます。
価格上昇の背景について、オックスフォード大学のエネルギー安全保障の専門家アディ・イムシロビッチ氏は「この戦争に具体的な目標が見えないこと」が大きいと指摘します。終結の見通しが立ちにくいほど、取引側はリスクを価格に織り込みやすくなります。
G7は戦略備蓄を放出、史上最大規模の緊急放出に
供給途絶の影響を和らげるため、G7各国は国際エネルギー機関(IEA)の調整のもと、戦略石油備蓄を計4億バレル放出します。今回の放出は、緊急時対応としては過去最大規模とされています。
ただ、市場が見ているのは「量」だけではありません。海峡の通航がいつ・どの程度回復するのかという時間軸が不透明なままだと、備蓄放出があっても高値圏が続きやすい、という見方も出ています。
原油だけではない:アルミ高騰と肥料高が同時に進行
アルミは4年ぶり高値、建設・製造業に波及
アルミニウム価格は4年ぶり高値に上昇しました。建設、製造、航空宇宙、自動車など幅広い産業でコスト増につながる可能性があります。
肥料は「海峡依存」が直撃、穀物価格にも連鎖の恐れ
ホルムズ海峡を通る肥料の輸送が細ることで、肥料価格も押し上げられています。世界で取引される肥料のおよそ3分の1がこの海上交通の要衝を経由するとされ、供給の目詰まりは次の価格へ波及しやすい構造です。
- 肥料高 → 農業コスト増
- 農業コスト増 → トウモロコシ、大豆、小麦、米などの価格に波及
- 食料品全体のインフレ圧力につながる可能性
WFPが警鐘:中東の食料安全保障に早くも影響
世界食糧計画(WFP)は声明で、この紛争が中東の食料安全保障をすでに損ねつつあると警告しました。評価では、レバノンで「ここ数年、高い食料不安に直面してきた人々の中で、国内避難が大きく進んでいる」としています。
燃料・肥料・物流のショックが重なると、家計の負担増だけでなく、脆弱な地域の人道状況が短期間で悪化しうる点が、静かに重い論点です。
株式市場も反応:日経平均は下落、韓国市場も続落
商品価格の急変は、企業収益やインフレ見通しを通じて株式市場にも波及します。3月13日(金)の市場では、日経平均株価(225種)が前日比633.35円安(-1.16%)で取引を終えました。同日、韓国の代表的株価指数KOSPIも-1.72%の5,487で引けています。
「3カ月続けば」成長見通しが半減も:タイの試算
影響は中東から遠い地域にも及びます。タイ商工会議所大学の試算では、中東の地域紛争が3カ月続いた場合、タイの今年(2026年)のGDP成長率見通しが、従来予測の2%から「ほぼ半減」する可能性があるとしています。
いま市場が注目するポイント
- ホルムズ海峡の通航状況がいつ正常化するのか(供給リスクの時間軸)
- IEA調整の備蓄放出が、実需と市場心理の両面でどこまで効くのか
- 肥料高が作付け・収量・食料価格に波及するスピード
- 株式・為替・債券に「インフレ再燃」や「景気減速」がどう織り込まれるか
エネルギーのボトルネックが、金属、農業、食料安全保障、そして金融市場へと一気に連鎖する局面です。日々の価格の動きだけでなく、「何が詰まり、何が代替され、どこにしわ寄せが向かうのか」を見ていくことが、状況を理解する近道になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








