イラン文化遺産に被害拡大、米・イスラエル攻撃で56施設が深刻損傷
イランの文化遺産・観光・手工芸省は2026年3月14日(現地時間、土曜日)、米・イスラエルによる攻撃で国内の博物館や歴史的建造物など少なくとも56の文化関連施設が「深刻な被害」を受けたと発表しました。文化財保護をめぐり、UNESCO(国連教育科学文化機関)からも懸念の声が出ています。
発表のポイント:少なくとも56施設が被害
同省の声明によると、被害は複数の州に及び、博物館、歴史的建造物、文化遺産サイトが損傷したといいます。声明は攻撃を強く非難し、「国家のアイデンティティ、歴史的記憶、魂に対する犯罪であり、人類が共有する遺産に回復不能な打撃を与える」と主張しました。
テヘランで被害が集中:19カ所に影響
同省は、首都テヘランが最も大きな打撃を受け、19カ所が影響を受けたとしています。声明は、象徴的なランドマークが「直接攻撃を受けた」と述べ、具体例として次の施設名を挙げました。
- テヘランのHistoric Citadel(歴史的城塞)
- ゴレスターン宮殿
- テヘラン・バザール
- マーブル・パレス
- Historical Police Headquarters(歴史的警察本部)
- Former Senate Building(旧上院議事堂)
- セパーサーラール・モスク
- ファラハーバード宮殿博物館
UNESCOも保護を要請:中東18カ国に影響が及ぶとの見立て
文化遺産への脅威は、UNESCOも注視しています。世界遺産センターのラザール・エルンドゥ・アッソモ所長は3月13日(金曜日)、攻撃が中東の18カ国に影響していると述べ、同地域には既存の世界遺産が125件、登録待ち(検討対象)の案件が325件あると指摘しました。所長は、現在の軍事作戦により「世界の遺産の約10分の1が損傷リスクにさらされうる」との認識も示しています。
すでに「4つの世界遺産が損傷」との予備情報も
所長は予備的な情報として、イラン国内で4つの世界遺産がすでに損傷したほか、レバノン、イスラエルなど他の国・地域でも追加の被害が出ていると述べました。
またUNESCOは、意図的な標的化を防ぐため、主要な文化施設の座標情報を関係当事者に共有しているとし、当事者に対して最大限の自制と、人命および文化遺産の保護に必要な措置を求めたとしています。
今後の焦点:被害の確定と「守るための運用」
現時点では「少なくとも56施設」とされており、被害の全容や修復の見通しは今後の調査で更新される可能性があります。文化遺産は、戦況の変化だけでなく、火災・振動・二次被害などでも損傷が拡大しうるため、現場の安全確保と記録(被害状況の保存)をどう進めるのかも焦点になりそうです。
Reference(s):
Iran's cultural heritage under fire: US-Israeli strikes hit 56 sites
cgtn.com








