ホルムズ海峡の緊張緩和へ:米イラン間で合意案が浮上、世界経済への影響は?
世界的に重要なエネルギー輸送路であるホルムズ海峡の航行制限が、解消に向かう可能性があります。今年2月に始まった紛争により、世界的なエネルギー市場に混乱を招いたこの海域で、米国とイランの間で緊張緩和に向けた合意案が検討されています。
航行再開と制裁解除に向けた「30日」の計画
イランの準公式通信社タスニム(Tasnim)の報道によると、現在検討されている合意案では、以下の点が盛り込まれているとされています。
- 航行レベルの回復: ホルムズ海峡を通過できる船舶の数を、30日以内に紛争前の水準に戻す。
- 海上封鎖の解除: イランに対する海軍による封鎖を30日以内に完全に解除する。
- 主権の行使: イラン側は、さまざまな手段を通じてホルムズ海峡における自国の主権を行使することを強調しています。
米国とイラン、温度差のある現状認識
米国側とイラン側では、この合意に向けた進捗状況についての認識にズレが見られます。
ドナルド・トランプ米大統領はSNS上で、平和合意に向けた覚書(MoU)は「概ね交渉済みである」と述べ、海峡の再開に向けて前進していることを示唆しました。また、米メディアのAxiosは、60日間の停戦延長期間中に海峡を再開し、イランによる石油販売を自由化させると同時に、核プログラムの制限に関する交渉を行うという内容であると報じています。
一方で、イランのファルス(Fars)通信社は、トランプ大統領の「合意がほぼ最終段階にある」という主張は「現実にそぐわない」と反論。合意によってイランが海峡の管理権を持つことは認めるものの、交渉の進展については慎重な姿勢を崩していません。
最大の争点となる「核問題」の扱い
今回の合意案において、最も議論が分かれているのが核プログラムの扱いです。
ニューヨーク・タイムズ紙などは、米国当局者の話を引用し、テヘラン(イラン政府)が高濃縮ウランの備蓄を放棄することに合意したと報じました。しかし、イラン側はこの報道を全面的に否定しています。
ロイター通信が報じたイラン側の情報源によれば、主張は以下の通りです。
- 核問題は「最終合意」に向けた交渉で扱うべき事項であり、今回の「予備的合意」には含まれていない。
- 高濃縮ウランの備蓄を国外へ搬出することに合意した事実はない。
- 交渉の前に、凍結されている資産の解放を優先させる。
エネルギー市場にとってホルムズ海峡の安定は急務ですが、根本的な核問題という高いハードルが残っています。予備的な合意が実効性を持つのか、それとも交渉の停滞を招くのか、今後の動向が注目されます。
Reference(s):
Potential deal could restore Hormuz traffic to pre-war level
cgtn.com

